アテネパラリンピック最後の戦い・ドイツ戦は、またも1点差負けという悔しい結果で、ウィルチェアラグビー日本代表の挑戦は終わった。 オーストラリア、ベルギー戦と過去2回の1点差負けは、リードしている場面から追いつかれての逆転負けだった。しかし今回のドイツ戦は、常にリードされながら最後の第4クォーターで残り5分をきったところで同点に追いつき、残り3分の時点で逆転に持っていくなど、同じ1点差負けながら、意地と成長の跡が見えた次に繋がる戦いとなった。 思えば日本は世界ランク8位とはいえ、ニュージーランドやオーストラリアとは昨年9月のオセアニアカップで対戦したものの、ヨーロッパ勢との力の差は実際どれほどのものだか、アテネに乗りこむまで未知数だった。 自分たちがどれほど世界に通用するのか。期待と不安の中で始まったパラリンピックは未勝利に終わったとはいえ、選手たちには「世界と互角に戦った」という大きな自信と経験を手に入れた。 一方、第3戦から持ち点の変更で選手登録すらできなくなり、ベンチでチームを見守り続けた川村は、「今は今後のことは考えられない」と言葉少なに会場を後にした。持ち点4.0ということは、選手としてプレーができないことを意味する。これから競技を続けるのかどうか。川村にとっては、重い現実を突きつけられた大会となった。 またキャプテンでもあり、チームの強化委員長も担当していた福井は「選手としてのパラリンピックはこれで最後だと思う」と語った。 しかし今回のパラリンピック初出場で、世界に対する自分たちの現状が見えてきたことで次につながる手応えを手にしただけに、今後も、なんらかの形でウィルチェアラグビーに関わり続けたいと、4年後に向けての新たな一歩を踏み出す覚悟だ。
緊張と不安でガチガチになっていたパラリンピック初戦のアメリカ戦から1週間。日本代表は1試合こなすごとにプレーの幅も広がり、顔つきも精悍になっていった。間違いなく成長している。
彼らにとっての初出場のパラリンピックが終わった今この瞬間、ようやく本当の意味での、ウィルチェアラグビー日本代表の歴史が始まったのかもしれない。
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/ BBS
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