彼らが今、ここにいる…。 パラリンピック初出場の種目、ウィルチェアラグビーの日本代表選手たちが、19日、ヘリシニコ・インドアホールに姿を見せた。 世界ランク8位の日本は、実はこのパラリンピックに出場できるかどうかを大会エントリーギリギリまで、開催国ギリシャの対応を待たなければならなかった。 開催国ギリシャがもともとウィルチェアラグビーのチームがなかったために、ギリシャが急造チームで参加するか、それとも参加しないかによって、8カ国参加の戦いの最後の1枠に日本が出られるかどうかという先の見えない状況だったのだ。 それでも彼らは、自分たちがアテネパラリンピックに出ることを信じ、練習・合宿を繰り返して準備をしてきた。 ついにその夢の舞台に、選手たちが立ったのだ。
しかし、夢の余韻にひたる間はなかった。 パラリンピック初出場、初戦の相手は、世界ランク1位のアメリカ。 試合開始直後から、アメリカは速攻を繰り返し3点を連取。 日本もかろうじて1点取り返すも、コートにいる日本選手の動きはあきらかに硬く、そもそもスターティングメンバーも、過去に試合や練習でやってきたメンバーと違っていた。 何かがおかしい。
しかし試合は止まってはくれない。第一ピリオド5分、選手交代で田村がコートへ。その田村がコートに入るやいなや得点をゲット。 日本代表の目を覚ました。
その後はお互い均衡しながら点を取り合うも、日本のミスを確実に点に結びつけるアメリカの前に54対39という得点差で、記念すべきアテネの地での初戦を黒星で終えた。
試合後、攻守に気を吐いた田村選手は「戦う気持ちは本気になった。自分は絶対負けないと、声を出すのもプレーも全力を出しきれました。ウィルチェアーラグビーは欧米の国しか出ていないので、アジアの国としてもこの試合はすべての第一歩だったと思う。負けはしたけれども勝負できるとわかった。やればできる。パイオニアとしてこの後の試合も、絶対に勝てるという気持ちでがんばります」と、新たに踏み出した一歩を力強く語った。
キャプテンとして長年チームをまとめてきた福井選手にとっては、この記念すべき初戦は「ペースにのれなかった」と個人的には納得いくものではなかったが、チームとしてはいいプレーも出せて、まとまりができたことに感触をつかんだよう。
一方、不可解なメンバー構成の理由は、試合直前になって選手の障害レベルの持ち点を変更されたため、急遽対応を迫られてのことだとか。 障害レベルの審査をするために、予選の間に登録メンバー全員を試合に出さないといけないということもあり、日本で作り上げたメンバーが組めなくなったというのは大きな痛手だが、これも世界の洗礼か。
夢の舞台を「夢」で終わらせないためにも、すべてを経験として身につけ、日本代表の力にしてほしい。
【撮影:なごやん】
記事に関するご意見・感想はこちらへ
→ info@paraphoto.org
/ BBS
|