4月15日(木)、日本パラリンピック委員会より、アテネパラリンピック競技大会出場選手の第1次発表が行われた。
そのリストには、ウィルチェアーラグビー日本代表選手12名の名前。
アトランタ大会ではデモンストレーション競技、そして2000年シドニー大会から正式種目となったウィルチェアーラグビーで、2004年アテネでの今大会、日本代表がパラリンピック初出場を決めた。
1977年にカナダで考案された車椅子で行うラグビー「ウィルチェアーラグビー」が、日本に正式に紹介されたのは1996年。
現在19カ国参加のワールドランキングで第8位と、短期間にかなり実力を伸ばしている日本だが、アテネパラリンピック参加を見据え、早くから発祥国カナダ、強豪国のアメリカやオーストラリアといった国々と世界の舞台で戦うために、日本ウィルチェアーラグビー連盟は代表チーム強化のために着々と準備していた。
そのひとつが、この冬の2月28日(土)・29日(日)、2日間に渡って横浜ラポールメインアリーナで、かつてアメリカやベルギーのナショナルコーチを歴任し、現在オーストラリアナショナルチームのヘッドコーチを務めるテリー・ビニャード氏を招聘した「ウィルチェアーラグビークリニック」だ。
クリニック初日は、朝の9時から間に休憩や食事を挟みつつ夜の8時半まで基礎技術をみっちり練習。二日目の29日(日)は、日本代表候補選手たちの、試合中でのより具体的な戦術指導になった。
相手の有利をつぶす戦略
ウィルチェアーラグビーは1ピリオド8分間で4ピリオド、計32分間戦う。
テリー・ビニャード氏がまず選手に伝えていたことは、その32分間のすべてに全力でプレーができるようにすること。技術うんぬんの前に、試合中にちょっとでも自分のペースでスローダウンする余裕などがないのがパラリンピックで戦うレベルであるということだ。
それを大前提に、ビニャード氏の指導のポイントは、試合の中でいかに相手の有利な点をつぶしていくか。
例えば、ディフェンスする相手選手が障害レベルの重いローポインターであったら、腕にあまり力が入らない場合など、強いパスが投げられる方向が限られるはずだから、相手選手のそうしたクセも試合中にすぐに見抜けば、より的確に相手のパスコースをカットでき、無駄なディフェンスしないですむようになる。
また例えば、混戦の中など審判が見えにくいシーンでスピードを出せる選手がファアルをおかした場合、スピードの遅い選手がさりげなく自分がしたかのように審判に自らアピールし、スピードのある選手をコートに残そうとすることも、プレー自体とは別に、常にどんな一瞬でも、チームの勝ちに繋がることを意識することの大事さの1例だった。
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