MPC(メインプレスセンター)で、その時を待つ。 カメラマンが忙しく動き出した午後8時。後30分でスタートだ。あたりはすっかり暗く、肌寒い。 選手が入るグランドに一緒に入った。真ん中に大きな木が立っている。あたりに響くアナウンスが流れると会場を埋め尽くした人のウェーブが起きて、選手を歓迎する音楽が鳴り出した。木を中心に様々なアトラクションが行われていった。白いドレスを身にまとった女性を先頭に142カ国、4000人の選手が入場してくる。なぜかビデオを回している選手が多い。国の仲間に同じ感覚を味わってもら覆うとしているのか。実に4時間にわたる開会式は聖火の点火、花火がじゃんじゃんあがって終わった。 式の途中、僕の目の前を200人以上の選手がトイレに行った。中には眠そうな人も、寒さに震えてる人もいる。話をしている最中だからと止められた車いすの人もいる。薄手の民族衣装を着ている人は大変だなと、黒のTシャツ1枚の自分もふるえた。花火が終わると、スーツを着た人と、インカムを付けた黒ずくめの人が抱き合って成功を喜んでいる。 式が終わってボランティアさんも選手と混じって笑顔で話をしたり、写真を撮ったりしている。 MPCで組織委員会の健常者(あまり使いたい表記ではないが便宜上使用する)だけとの記者会見が行われた。実によかった。人間に違いはない。障がい者のスピリットには感動するなどと、言っていた。英語がうまくないので、あまり内容をしっかりとは聞き取れなかったが、こんな事は言っていた。 そんな、話を聞きながら、選手のみんな風邪をひかないようにと願っていた。 いったい、誰のための開会式なんだろう。誰のためのパラリンピックなんだろう。
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