酒井嘉和------シドニーパラリンピックに高校生で初出場し、100m背泳ぎ(S12)で世界新記録(1:03.98)を更新。メドレーで河合純一と組み、やはり金メダルを獲得した。アテネに向けても、つねに河合と練習をともにしている。8月7日、水泳教室のお昼休み、選手に話しかけてみた。
------ 調子はどうですか。
酒井「いま、ちょうど、IPCのエントリーランキングも出てきています。自分は、背泳ぎが得意ですけど、上がいるので、頑張らねばと思っています。」
------ 河合選手と練習を一緒にしてどうですか。
酒井「選手であるはずなのに、色々のことをやっていただいています。自分たちは練習してるだけなのに、それ以上のことをやってかつ、自分の練習もそれ以上にやっていて、スゴイと思います。」
------ いまの日本代表には、「水泳は、団体競技」という考えがありますね。
酒井「水泳の練習は泳ぎだけではないですから。筋トレとか、アテネでの生活面であったり。そういうのすべて含めて練習です。またやっぱり、みんなに支えられていますから、そのおかげで練習できているんじゃないかな、と思います。」
------ 舞阪での練習は13日までで、その後は?
酒井「ジャパラの後につづけて大阪で2日間の合宿。その後はまた東京で練習です。普段25メートルで練習していますが、本番は50メートルなので、ここに来たんです」
------ 25から50への移行は大変なのでは?
酒井「まあでも、そんなにずっと50を離れているわけじゃないんで。」
------ 11日に、選手村に入ってからの練習は?
酒井「向こう行ってからは、向こうの水に慣れたりとかしないといけないですから。向こうの水はどんなかな。日本人にやさしい水だといいけれど・・。」
------ 温度は28度設定とか。公式の温度としては高い方の設定みたいですよ。
酒井「そうですか、28度ですか。もうちょっと高いとありがたいですね。ここのプールが温度高いんで。でも、泳ぎやすそうな温度ですよね。たのしみです。」
------ アテネにむけて考えていることは?
酒井「大会はみんなで盛り上げていくものだし、みんなが喜ぶ顔の中で自分もよろこんでいられたらな、と思います。みんなが笑っていられたらと。」
------ シドニーの時との意気込みの違いは?
酒井「前回は高校生で、よくわからないで行きましたが、ある程度成績残せて、帰ってきました。自分の意志も何もなく、流れに流されて帰ってきた感じなのです。4年経って、周りの状況も見えてきて、ひとりで練習始めて、今回はある程度自分の意志で、自分の考えをもっていけるんじゃないかと思います。そういう意味で、シドニーの時ははじめてだけど『自分の足で行く』という意味では、今回も初めてのパラ、という感じです」
------ アテネに向けて、大事なことは何ですか。
酒井「練習も、何でもそうなんですけれど、自分ひとりではできないんで。周りの人が助けてくれているってことを忘れないことだと思います。練習もそうだし、試合もそうです。そして、その結果、いろんな人に、どんな人でも頑張れば、なんでもできるんだなってところを見せたいし、わかってもらえたらと思います。」
------ アテネでいちばんキツイのはどんなことだと思いますか?
酒井「生活がちがうってことだと思います。普段と違うことをやらなきゃいけない。朝の予選とか・・。」
------ 予選が朝あって、決勝が夜とかになっているわけですか?
酒井「そうですね、だいたいそうなっていると思います。それがみんな一番きついんじゃないですかね。普段は、仕事とかで朝およぐことないじゃないですか。それでも大会では朝、身体を起こしておよがなきゃならない、っていう生活が厳しいんじゃないかと思います。」
------ 最後に、寺西さんの着ている赤いTシャツに『百人の自分に勝つ!』って書いてあるんですけれど、ご存じですか?
酒井「はい。シドニー終わってから、4年間、色んな生活をしている自分がいるはずですからね。その中でも、一番になりたいと思いますよね、絶対に」
------ このTシャツはみなさんで作られたんですか?
酒井「そうです。赤と白と紺があって、赤は特別なんです。選手もしくはアテネに応援に行っていただける家族・友人とかみんなで着る。ということで、赤は限定なんですよ。青と紺と白は、Tシャツ買っていただいて、募金みたいな形にします」
------ それは、どこで買えますか。
酒井「大阪のジャパラでも買えますし、その後は雑誌やインターネットでも買えるようにしようかな、と思います」
【文:佐々木のぶえ 写真:大石智久】
記事に関するご意見・感想はこちらへ
→ info@paraphoto.org
/ BBS
|