8月1日(日)ブラインド合宿の最終日。 水泳・日本代表選手24名を率いる監督・猪飼聡さんにお話しを伺った。猪飼さんは京都の障害者スポーツセンターで長年水泳選手の指導にあたってきた。
----- チームの様子、監督ご自身のかかわりかた、目標について
猪飼「基本的に個人競技ですから、それぞれのコーチについて練習し、大会に間に合うように練習してくる。合宿ではそれを確認、アドバイスを行います。今回は、ブラインド選手の合宿ですので、全体的なことがいえないですが、視覚の選手はちょっと「お疲れ気味」と思います。全体的に、調子がものすごくいいです、ということはないです。時期的なものもあると思います。いまは、2週間に1回ずつ合宿がありますから。一般のオリンピックとちがって、仕事しながらやってますから、練習以外の部分で無理や疲れがそろそろでてきてるのかな、と思います。コーチも同じですが」
----- 選手の中で、学生は何人ですか?
学生は、中学生1人、高校生3人、大学生は河合もいれて4人(=8/24人)。
----- 社会人と比べて学生の動きは?
猪飼「もうちょっと練習してきてほしい。ただ、学校の水泳部に入っている人は週6日練習時間ができているし、わからないとしても先生のメニューをまもってやっていけば、基本的な身体づくりなどはできている」
----- 3チームにわかれて練習しているそうですが。
猪飼「障害によって泳力がちがうので、50メートルを40秒で泳ぐ人、50秒で泳ぐ人、といったぐあいで、障害ごとの泳力、泳速で分けています。これは、単純にブラインド、切断とわかれていないです。練習の効率で、サークルで5秒ウエーブ、10秒ウエーブということが組みやすくなるからです」
----- 別のカテゴリーのチームがあるとききましたが。
猪飼「それは、レクリエーションです。応援合戦です。日本のチームで、かけ声をかけあう。その時に声の出し方とかバリエーションを各チームで考えて、出し合っていく。盛り上げです」
----- 監督が今後にむけて考えておられることは
猪飼「個人競技といいましたが、殆どの選手がリレーにもでることになっています。そのことをアタマにおいて考えるなら、その辺の練習というのも、さらに個人の練習の延長線において考えないといけないわけです。それを、まあそういうふうに、延長線上でいいのか、個人のメダル、ということを優先させたらいいのか。 チームとしては、当然メダルなんですが、それはリレーの4人がそろってがメダルという状況に置かれているわけではありません。4人のうちひとりがメダリスト、ということになっています。そうなってくると、やはりその日その日の調子、練習のメニューをみて決めていかなければいけないでしょう。 あと、日本の世界における位置、それを分析してやります。ブラインドは、決勝に残れる実力がある。メダルにも届く実力がある。世界で強いのは4カ国ほどあるんですが、その4カ国と日本、5カ国から1、2、3位がでるでしょう。それなら、合宿の時間の半分を割いてもリレーの練習もしないといけない、ということになるんです」
----- 強い国にはどんな共通点がありますか?
猪飼「若いです。そして、昔はグレートブリテンが強かったですし、いまもまあ、強いですが、あとウクライナ、ベラルーシといった旧ソ連が強いです。なんかあるのかどうか知りませんが。ブラインドの選手が多いんですね。異常なまでに早いですよ」
----- 選手と各コーチの話を聞いていると、技術的なやりとりが非常に多いように思いますが、コミュニケーションの取り方が見えている選手とちがって難しいでしょうか?
猪飼「わたしは、京都の障害者スポーツセンターで指導員をしていましたが、ブラインドの選手は監督が配慮しなければいけないことがいろいろあります」
----- ブラインドの選手は、視覚の情報がない分、情報が整理されている方が多いとか、そういうことでしょうか?
猪飼「そのとおりですね。また、車椅子バスケットだったら、脊椎損傷と切断だけですが、水泳はそういうわけにはいかない気がしますね。そのあたりが難しいのかなと思います。ブラインドの場合は、慣れてしまうとつい見えていないことをわすれてしまうことがあります。見えてるんじゃないか、と思うことがある。それは気をつけなきゃいけない」
----- 水泳は障害のクラス全部が一堂に介して競技が行われる。その分、お互いをわかろうとする気持ちが働くのでしょうか。
猪飼「選手同士がそういうふうになってくれたらいいと思います」
----- ありがとうございます。現地でもよろしくお願いします。
猪飼「わかりました。取材にはできるだけ協力します」
(写真は水泳日本代表監督・猪飼聡さん)
【取材:佐々木のぶえ 写真:森田和彦】
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