9月23日、オリンピックテニスセンターで男子シングルス準々決勝が行われた。 この日は、日本車いすテニス界の第一人者の斎田悟司(32)が世界ランキングbPのロビン・アマラン(オランダ)と、また若手で急成長中の国枝慎吾(20)は世界ランキングbQのデビッド・ホール(オーストラリア)と対戦した。アテネでの金メダルを目標として、日々トレーニングを積んできた二人にとって、いちばんの山場を迎えていた。 しかし、両選手とも善戦したものの、準々決勝で敗退となってしまった。 国枝は、2−6で第1セットを落としたあと、6−0で第2セットを奪い返した。ホール相手に1セットを奪いはしたが、力の差を見せつけられ、第3セット4−6で敗れた。 「第2セットから気持ちを切り替えました。ホールも調子が落ちたので、一気にいってやろうと思いました。でも力の差が出たかな、という感じでした」 と、国枝は試合を振り返った。
斎田は第1セットを4−6で落としたが、第2セットを6−3で取り返した。セットカウント1−1に持ち込み、斎田は大きくガッツポーズをした。 そして、第3セット。日ごろポーカーフェイスで試合に臨む斎田だが、この試合では勝利への執着が全身にみなぎっていた。第3セット序盤は、お互いに譲らない試合展開だった。が、3−4で迎えた第8ゲームで、突如斎田のサーブが崩れた。2本のダブルフォールトを犯し、ブレークを許して3−5とリードを広げられる。 しかし、斎田は最後まで食らいついていった。第11ゲーム、5度のデュースを制し6−5とする。第12ゲームでは、マッチポイントも迎えたが、アマランにタイブレークに持ち込まれた。 タイブレークは序盤からアマランが4ポイント連取し、続いて斎田が3ポイント連取という激しい攻防となった。タイブレーク6−3、アマランのマッチポイントで斎田はダブルフォールトで試合終了。 試合終了後、斎田の目に涙が光った。目深に帽子をかぶり、その表情を隠そうとしていたが、その悔しい気持ちまでを隠すことはできなかった。 目を赤くしたまま取材陣のインタビューに答えた斎田は、 「負けたのは、悔しいです。でも、自分の力を精一杯出せたと思うので、そういう意味では悔いはありません」 と語った。 シングルスで金メダルを獲得する夢は果たせなかったが、斎田と国枝は、ダブルスで優勝することに気持ちを切りかえた。
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