マリーシアとはポルトガル語で「ずる賢い」という意味である。サッカーで言えばわざと大げさに倒れてファールをもらおうとしたり、レフリーに見えないところで故意に相手のシャツを引っ張ったり、肘打ちしたりする行為のことだ。もちろんスポーツマンシップに背く行為であるのは間違いないのだが、勝つためには手段を選んでいられない。それが世界のサッカーなのだ。日本人が最も苦手とする分野である。特にブラジルやアルゼンチンなどの南米サッカーお得意の戦略で、レフリーの頭を悩ますトリックがそこでは繰り広げられる。
<ブラジル対ロシア 2:1> ブラジル、ロシア両チームとも絶対に勝ちたいという気迫が感じられる好ゲームとなった。お互い準決勝進出は予選2試合を終えた時点で決めている。その一方、もし予選最終戦で負ければ、あの最強軍団のウクライナと準決勝で当たることになるのだ。それだけは避けたいという両チームの思惑を、十二分に垣間見ることのできる試合となった。
ロシアは奇策とも言えるおもいきった作戦をとってきた。正ゴールキーパーの12番をワントップのフォワードとして起用してきたのだ。その代わりにサブに入っているキーパーを先発させ、主力の10番をベンチに温存した。わざとメンバーを落してきたのか、それともこれがブラジル対策だったのかは最後まで分からなかった。ただ試合内容から見ればこれが明らかに失敗だったように思える。攻撃の形を作れないまま、2失点を喫したからだ。慣れないフォーメーションに選手が戸惑い、チームとして明確な意思統一がゲーム中できていなかった。後半もとの形に戻し、サブの選手を投入して攻撃的に勝負に出たが、時すでに遅し。1点返すのが精一杯だった。
それに反して、ブラジルは自分達のスタイルを貫き通した。積極的に攻め前半序盤に先制すると、チーム全体で攻守のバランスを保ちながらも、持ち味である個人技でロシアを圧倒した。
この試合1番印象的だったのが、相手のファールを受けて、うずくまるブラジルの選手が終盤続出したことだ。全てが演出だったとは言わないが、明らかに時間を稼ごうとするチームとしての意図が感じられた。何が何でも勝つというサッカー大国ブラジルの意地をそこに見た気がする。勝ちと負けを分けた要因は、普段着のサッカーをしたブラジルと着飾って自分を見失ったロシア。それ以外の何ものでもない!
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