「完全な負けでした」 −100kg 級松本義和選手
初戦の相手、アメリカ合衆国のSZOTT Kevin 選手は、強豪だと聞いていた。その事前情報が、見事に当たってしまった。
試合時間が残り時間2分に差し掛かるころ、先に「効果」をとったのは松本選手。しかし、力強く技を繰り出してくる相手に防戦傾向となり、すぐに「指導」をとられてしまう。後半になるにつれ、松本選手の技が鈍くなり、相手の力に飲み込まれるように見えた。結局、「有効」と2つ目の「指導」をとられ初戦で負けた。 力を使い果たしてしまったのか敗者復活戦も敗れ、松本選手のアテネパラリンピックは1勝もできずに終わってしまった。
「完全な力負けですよ」。 試合後の松本選手は、相手選手の強さを実感し、敗戦に納得しているようだった。
91kg 級、−100kg 級、+100kg 級の3階級は、近年、外国人選手の躍進が著しいといわれている。松本選手も、「シドニー大会の2年前から、国際大会に出ているんですが、外国人選手は パワーだけでも皆すごい。楽にあたれる選手はいないですね」と話す。 もちろん、松本選手自身もシドニー大会以降、海外勢を意識して、技やスタミナをつけてきたという。しかし、残念ながら、アテネでは通用しなかった。
「これからは、日本選手団のサポートに、マッサージも含めてまわりたいです」。 マッサージ業を営んでいることから、代表選手たちから「社長」と呼ばれて親しまれている松本選手。パラリンピックの舞台を降りて、戦いに挑んだ「柔道選手」の顔は、優しさがにじみ出る「社長」の顔に戻っていた。
【文/河原由香里】
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