「弱いんやろな。やり直しです」 90kg 級 宮内栄司選手
視覚障害者柔道の90kg 級は、最も外国人選手の層が厚く、日本人選手の成績が振るわない階級だと聞いていた。これまで、バルセロナで71 s級銅メダル、シドニー+100kg 級で銅メダルの実績がある宮内選手は、難しい階級といわれるこの90kg 級で、アテネに挑んだ。
しかし、初戦から厳しい試合を強いられた。 対戦相手のイラン代表MIRHASSAN NATTAJ Seyed Amir 選手とは、互いに相手の組み方を嫌い、組み手の争いが続く。両選手が「効果」と「指導」(ペナルティー)を分け合い、一進一退の試合展開となった。残り16 秒で、宮内選手が「すみがえし」で「技あり」を獲得。さらに残り1秒で、相手選手の「指導」が3ポイントになり、宮内選手の総合勝ちとなった。
勝利を手にできたのは、ここまでだった。 2回戦のフランス代表CUGNON de SEVRICOURT Olivier 選手には、試合開始1分21 秒で「1本」をとられ、負けた。 気持ちの切り替えができなかったわけではないだろうが、宮内選手は、続く敗者復活戦も1分41 秒で一本負け。メダルには届かなかった。
「ついにパラリンピックでメダルとれなかった。歳かなぁ。弱いんやろな。やり直しですね」 「2回戦のフランスの選手も、ものすごい強かった。実力がないということですね。北京では本当にやりますよ」と宮内選手。
北京を目指すという言葉の裏には、今日の敗戦の悔しさがあるだろう。しかし、それ以上に宮内選手は、今日の対戦を通じて90kg 級の外国人選手の強さを肌で感じ、現在の自身の力を見極めたのではないか。そして、「本当の強くなろう」と自分自身に誓ったように見えた。
この敗戦をステップに、北京では、外国人選手に劣らない90 s級の宮内柔道を見たい。
【文/河原由香里】
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