決勝戦。 試合開始から、わずか3秒で勝敗が決まった。
「内股にいったところを返されました」 「やりたいことをやったので悔いはないですけど、残念です」 試合後の加藤選手は、さばさばとした表情で話した。
内股は、加藤選手が最も得意な技だ。世界で勝負するために、磨きをかけてきた。 対戦選手となったフランスのJONARD Cyrll選手は、準決勝までの加藤選手を見て、内股で勝負に来ることを予想していたかもしれない。
しかし、加藤選手は、自信のない他の技よりも、得意技で挑んだ。そして、負けた。
体重を減量し、1つ階級を落として日本代表選手となった加藤選手。今回、初出場のパラリンピックで、銀メダルの獲得だ。すばらしい成績と言っていいだろう。
勝負は残念な結果となったが、表彰式では、加藤選手の穏やかで謙虚な人柄が見えた。自身の実力で獲得したメダルなのに、首にかけられた後、ぺこりぺこりと数回、お辞儀をしている。その光景が、初々しかった。
銀メダルの獲得に、加藤選手は「金メダルを取りにきたので、負けは負けです」と言う。 「4年後の北京で頑張りたい」。 はっきりとリベンジを誓った彼に、これからもっと強くなりそうな予感がした。
【河原由香里】
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