初戦、準決勝と1本勝ち。軽快な動きで、技を決めていた。 「これは金メダルまでいけるかもしれない」。 会場では、広瀬選手への期待が高まっていた。 決勝戦を前にして、広瀬選手自身も「自分の技をだしきって、自分の柔道をしたい。ここまで来たので勝ちたい」と語っていた。
しかし、決勝戦は甘くなかった。
対戦したキューバのPEREZ HECHAVARRIA Serglo Arturo選手は、力強く、広瀬選手の軽快な動きを封じてしまう。それでも、前半は、両選手の力と力がぶつかりあい、足技の掛け合いが続いていた。残り時間が3分を切ったころ、広瀬選手が「技あり」のポイントを獲得。しかし、その後は、相手の技を警戒する状態が続き、ついに「指導」をとられる。後半は、相手の繰り出す技に対応するのが精一杯という感じになり、攻め切れなかった。結局、試合終了間際に、1本とられてしまった。
「勝つつもりで来たので、悔しいです」 「相手の技について考えてきたんですが、思った以上にスピードが速く、強かった」 試合を終えて戻る広瀬選手は、涙で濡れていた。
今春、広瀬選手は、学校の先生になった。 5月の連休に行われた代表選手の合宿には、代表選手の中でただ一人、仕事の都合で参加することができなかった。そのような中での銀メダル獲得だ。
目標からは一つ低い表彰台。 広瀬選手が上がると、勝利を讃えて、日本人応援団からは、ひときわ大きな声が飛んだ。
【文・写真/河原由香里】
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