柔道が金と銀を獲得の朗報に沸いた翌19日(現地時間)、休むまもなく藤本聰選手と広瀬誠選手が、加藤裕司選手の試合の応援に現れた。一夜明けての感想を聞いた。
「燃え尽きた。去年の屈辱が金につながった」 金メダリスト・柔道66キロ級 藤本 聰選手
----一夜明けて、どんな気持ちですか? 「ホッとしました。燃え尽きた、あしたのジョー状態。勝ってあたり前と思われていますから、勝つことへのプレッシャーもありましたし。練習場所を探したり、昨年世界選手権で負けたことで、多くを学びました」 ----3年連続とはいえ、今回の金メダルは格別ですね。 「今までで最高の金メダルです。今日支えていただいているみなさんへの感謝の気持ちを込めて、みんなの金メダルだと思っています」 ----新聞の一面トップを飾ったという話ですが。 「実感がないですね。帰ってみてみたら、実感が出てくるかもしれませんが」 ----3大会に出場した経験を通し、今回何を感じましたか。 「世界のレベルは確実に上がっています。パラリンピック選手が、ナショナルチームに組み込まれたり、練習環境に恵まれていたり、代表チームの第一線プレーヤーだった人がコーチをしていたり。私たちは仕事をしながらやっているので、どうしても時間が限られます。反対に、柔道ばかりしているといわれないよう、仕事も柔道もがんばりますので、それもよい面はあるのですが。今回は、徳島県警協力で練習場所の提供や、送り迎えもしてもらえるといった環境があったことが、(勝因として)大きかったと思います」
「悔しくてうれしい。次への手応え感じた」 銀メダリスト・柔道60キロ級 広瀬 誠選手
----一夜明けて、昨日を振り返ってどう感じていますか? 「実感ないですね。メダルとったという。悔しいでも、うれしい。今日も明日も仲間の試合がありますので」 ----試合の後の涙は、悔しさから? 「勝つために来て、終盤になるまでは、ポイントを取ったり、もう少しというところでやられたので、感情よりも先に涙が出てきてしまって。今冷静に振り返ると、恥ずかしいですね」 ----決勝で当たったキューバのペレ・サ選手には、過去にも対戦し、広瀬さんはその時に銀メダルでした。 「これまで3回当たっているのですが、一度もポイントが取れなくて、時間一杯対戦したことがなかったんです。今回は、時間ぎりぎりまでポイントを取られなかった。練習は無駄じゃなかったと思いました」 ----パラリンピックに初出場ですが、世界選手権や他の大会と、どこが違いますか? 「規模も、取材の量も違います。周りの人たちの応援の数が全然違って。世界選手権は自分の成果を試すためだけれど、パラリンピックは応援してくれた仲間の期待に、結果で応えたいという思いがすごくありました」
----試合前のコンディションはどうでしたか? 「今までは、結構緊張していたのですが、今回は体調がよくて、緊張もせず、負ける気がしなかったんです」 ----試合が終わったばかりですが、次の目標は。 「一年一年、柔道が好きなので、練習して、ある試合に出て勝ちたいし、出るからにはメダルを取りたいですし。毎日毎日の積み重ねをして、その延長にパラリンピック大会があるということだと思います」 ----広瀬さんは、今年4月に就職し、仕事と練習との両立を始めていますが、今後は、より練習がしやすい環境を整えていくことが課題でしょうか。 「牛窪先生はじめ、指導してくださる方々に連絡を取りながら、よりよい練習環境にしていきたいですね」
【武藤歌織】
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