Paraphoto 特定非営利活動法人 国際障害者スポーツ写真連絡協議会

9月19日 (03:43)

Paraphoto Article

9月19日 ブラインドサッカーの面白さ

パラフォト広報担当・小森誠之

photo視覚障害者七人制サッカー。英語表記は「Football 5-a-side」ブラインドサッカーとも呼ばれている。
フィールドプレーヤー4人は全員が目隠しをしなければいけなく、キーパー以外は何も見えない状態でサッカーをしなくてはならない。

自分も始めてみる競技だったので、ルールとか「面白さ」を探りながら観て来ました。そこで見つけた自分なりの考えをちょっとまとめてみました。


一番重要なのは「音」をいかに自分の行動につなげていくかということ。

まず「声」
対峙する相手の位置やディフェンスの指示はキーパーから。攻める時のシュートの方向や、相手の守りの薄いところを指示するのは、相手キーパーの後ろにいる「コーラー」である。ベンチにいるコーチからも声が飛んでくるし、敵であっても「守っていますよ」ということを教えるために声を出す。それがなければ「誰もいない」と思っているところに突っ込んでしまうからだ。

photo次に「音」
ボールは跳ねたり動いたりするとシャカシャカと楽器のマスカラのような音がする。サイドラインは壁に覆われていて、その壁に当って跳ね返ったボールもそのままプレーすることができる。ただし、キーパーの後ろに壁はなく、ゴールスローやコーナーキックがある。他にもコーラーはフリーキックやペナルティーキックの時に、ゴールの位置を教えるためにゴールポストを叩いて、その位置を教えることができる。

観客に対して静寂を強いるこのサッカーは一見応援が難しい。騒ぐのが好きな人、騒いで応援をするためにスタジアムに来ている人には辛いだろう。それは11人制の健常者サッカーを見慣れている人の感想かもしれない。スポーツの楽しみ方は人それぞれ。

自分がとても興味を持ったのは選手が皆「5秒先の戦い」を挑んでいることだった。ありふれたサッカー漫画の台詞に「背中に目がついているようなプレーです!!」という大げさな表現があるが、視覚障害者のプレーヤーは全身を使って5秒先のプレーを予測しあっている。

一人の選手をずっと目で追い続けていると、それがよくわかる。何を考え、次にどのプレーに移ろうかということを常に考えながら、ボールの音、そして仲間の声を信頼してスペースに走りこんでパスを出したり、見えないゴールにシュートを打つ。ただ、「なんでパスしないんだ!?」とか思っていたら、あっという間に敵を抜き去ってゴールを決められた時があった。その「いい意味で」期待を裏切られるプレー。その驚きが面白い。特にブラジルやアルゼンチンの選手が2、3人の選手を抜き去ってゴールを決める姿は爽快である。そのときだけは観客から静寂が解き放たれて、選手は声援と拍手を浴びる時間になる。(審判からは「静かに」という声が客席に飛んでいたけれど・・)



9月18日アテネパラリンピック
  視覚障害者サッカー 【試合結果&感想】 

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第一試合 ブラジル 4 ‐ 0 韓国

ブラジルが韓国を圧倒。しかし、両者にそれほどの力の差はなかったように感じた。韓国も前線の選手はテクニックもあり、力も強いので1人で突破を図ることができていた。しかし、どうしてもブラジルの選手にサイドに追いやられてボールを取られてしまっている。守備のときのボールを読む力。この選手はここにドリブルをしてくるだろうという「予測」か、それともキーパーの指示が的確だったのだろうか(ポルトガル語なので聞き取れなくて・・)ただ、ブラジルの選手には先を読む力が備わっていた。

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第二試合 ギリシャ 1 ‐ 2 アルゼンチン

地元のギリシャの応援で、スタジアムのメインスタンドは満員になっていた。試合の前の練習から見て、個人技やシュートの総合的な力は断然アルゼンチンのほうが優っていた。しかし、先制点を奪ったのはギリシャ。この前のユーロ2004のギリシャ代表のように、そのプレーはとても激しい。体で止めに行くディフェンスでアルゼンチンの動きを封じ込めていた矢先に。ペナルティーキックから先制!そのときが今日一番会場が盛り上がった瞬間でもあった。ただ試合はだんだんテクニックに優るアルゼンチンが支配していく。特に5番のVELO Silvioは体がでかく、テクニックもある選手。ゴール前やサイドでボールを受けて、そのまま1人で突破していける。その選手が後半に2点を入れてアルゼンチンが逆転で勝利。


photo試合後は勝利に対して涙を流していた選手もいた。その姿から今日の試合に掛けていた「勝ちたい」という気持ちが伝わってきていた。





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第三試合 フランス 0 ‐ 2 スペイン

スピードのフランス と 守備のスペイン。前半にスペインが上げた1点から、なかなか試合が動かない。フランスも6番を中心にサイドからの突破を図るが、守りを固めてきたスペインを崩せない。前線にボールを預けても、そこから奪われて攻められることが多いフランスは、長い時間ピンチが続くが、キーパーが懸命にボールをゴールからはじき出す。それでも2点を奪われて負けてしまった。この2チームにそれほど差はなかったが、フランスは自らが得たペナルティーキックを外してしまい「決定力」の差がでた試合だった。

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