脳性麻痺者7人制サッカー 英語名は Football 7-a-side CPサッカーとも呼ばれている。
視覚障害者5人制サッカーがフットサルのルールを基にされているように、脳性麻痺者7人制サッカーのルールはブラジルで誕生したと言われているソサイチという7人制サッカーを基にしている。ピッチやゴールの大きさが11人制より小さく、オフサイドはない。ソサイチにないルールとしてCPサッカーではスローインを片手やアンダースローで投げてもいい。それ以外はすべて同じである。
11人制のサッカーではワールドカップが世界最高峰の舞台であるように、CPサッカーではパラリンピックが世界最高峰の戦いである。チームは国の威信を掛けて。選手達はそれぞれの思いを抱えながら試合に臨んでいる。
審判の判定がおかしいと思えば執拗に抗議する。味方がミスをすれば、それを大声で咎める者がいる。相手チームの怪我で試合がとまれば、負けているチームは少しでも試合時間を延ばそうと審判に時計を止めるように詰め寄る。
皆必死なのだ。勝つことだけに意味があるとは言わない。しかし負けていい試合なんてない。オリンピックもパラリンピックも、参加することに意義があるのではなく、勝つために最大限に努力をすることに意味がある。
その姿には障害は見当たらないように見えた。器具を付けないでプレーができる選手でなければいけないというレギュレーション(規則)があり、CP5からCP8までのプレーヤーしか参加できないからそう思ったのだろうか。それとも選手達の必死な姿が自分にそう思わせたのか。
必死にプレーをする選手達の姿は、どのような障害であっても、どのスポーツであっても同じものであり続ける。その姿に対して、観客は拍手と怒声を浴びせかける。
「ワールドカップで優勝したい」「パラリンピックで金メダルが獲りたい」健常者も障害者も関係なく、すべての人が憧れと夢を持ち続けることができる舞台があればいい。すべての人の人生を懸命に生きるように導いてくれる。それがスポーツのすばらしさの1つだと思う。
9月19日アテネパラリンピック 脳性麻痺者7人制サッカー【試合結果&感想】
第1試合 ウクライナ 4 ‐ 0 アイルランド
アイルランドの攻めは相手ゴール前の力頼りのプレーだけになってしまった(それがアイルランドらしい・・のかな?)。ウクライナは前線の選手にスピードがあり、サイドからのセンタリングを多用して効率よく攻める。アイルランドも体を張ったディフェンスを魅せていたのだが、このすばやい揺さぶりについていけず失点を重ねてしまった。
第2試合 アルゼンチン 2 ‐ 2 イラン
イランは体の大きな選手が多く、反対にアルゼンチンは小柄な選手が多かった。イランは体格のいい8番のHOSSEINI(SP8)を右に、同じく10番のKERIMIZADEH(CP7)を左に配置してアルゼンチンのサイドを突く。テクニックで負けていないアルゼンチンは中央の10番SOSA Mario(CP8)が司令塔として位置し、そこからスルーパスやサイドへの展開を狙っていた。サイド攻撃のイランと、中央突破のアルゼンチン。ピッチが広く、そこに6人しかフィールドプレーヤーがいないCPサッカーはサイドの攻防が鍵を握ってくる。
第3試合 アメリカ 0 - 4 ブラジル
一方的な試合展開。アメリカはシュートを2本しか打たせてもらえなかった。1トップのアメリカは前線の選手がボールをキープできないので、チームの攻撃を組み立てることができない。それに対してブラジルはいかにも「ブラジルらしい」スタイル。ショートパスのみで相手を崩していく。ショートパスを使って相手のマークを集めさせ、最後は空いたスペースに走りこんだ選手がシュート。それが面白いように決まっていった。今大会自分が一番期待するチーム。ロシア・ウクライナという2強を倒せるか。
第4試合 ロシア 7 ‐ 1 オランダ
ロシアの一方的な試合。ロシアは前線の10番と7番を走らせて、そこからチャンスを作っていく。何よりロシアの15番のKUVAEL Andrey(CP8)は、ピッチの端から端まで走り回り、中盤の基点となって攻撃から守備までをコントロールしていた。今日の試合は彼を中心にすべてが動いていた。自分が今日見た選手の中で最高の選手。今大会のキーマンになるだろう。
ロシアは攻撃も守備もすべてにおいて完成されつくされたイメージ。今大会において、その牙城は崩れることがあるのだろうか。
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