Paraphoto 特定非営利活動法人 国際障害者スポーツ写真連絡協議会

9月25日 (10:56)

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9月24日 シッティングバレー 最後の灯火

パラフォト広報担当・小森誠之

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少し早めに会場に着いた。今日までに2敗。会場までの足取りはとても重く、今日の試合に対してネガティブなイメージを持つことしかできなかった。

会場では前の試合が終わっていて、会場運営のボランティア達がシッティングバレーに興じていた。自分にカメラを渡してきて「俺達がプレーしてるとこを撮ってくれ」と言う。

こっちはそんな気分じゃないよ

とでも言いたかったが、彼らはとても楽しげにシッティングバレーをプレーをしていた。

今日の試合を観戦に来ていたスイス人の車椅子の選手がボランティア達のプレーを「It's cool」と笑いながら褒め称えていた。

誰にでも楽しめるシッティングバレー。
自分もいつかプレーしてみたいと思えた。


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ボランティア達が引き上げ、試合が始まる。試合開始から相手に対する気迫を感じる。このチームには波がある。大声を上げて気合を入れて、それが波に乗ったときは技術や体格で負けていた相手に対して圧倒する力になる。大きく相手を引き離す時間帯もあった。明らかに相手のドイツの選手の顔が崩れていく。

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ただ、途中でその波が止んでしまってすぐに追いつかれた。

ドイツの選手は各個人で自分のやるべきことをわかっている。自分がミスをすれば自分で修正するしかないということを知っている。
雰囲気が悪ければ審判への抗議をしてでも試合の流れを止める。

逆に日本の選手は一度体勢が崩れると修正が効かなくなってくる。選手同士でコミュニケーションがとれず「お見合い」をしてしまう失点。選手交代がもたついている間にを点を取られてしまうこともあった。コートの外から見ていても動揺しているのが分かってしまう。監督やコーチからの指示に誰も答えることができないほど余裕を失ってしまっている。

3試合全敗。3試合を通じて1セットも取ることができず。
参加8チーム中最悪の成績。


21日 イラン戦    0 - 3  25-6 25-13 25-10
22日 フィンランド戦 0 - 3  18-25 13-25 19-25
24日 ドイツ戦    0 - 3  25-16 25-9 25-20


今日の試合で予選リーグが終わってしまった。それも建て直しの効かないままに。このチームは選手同士の掛け合いを見ていて、とても楽しんでプレーしているように感じる。得点を上げれば大声で喜び、ミスをした選手がいれば、何とか雰囲気を盛り下げないように声を掛ける。

それが日本の武器でもあり、建て直しの効かない弱点でもあった。


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勝ちに対する執念に差があるわけではなく、相手の選手達はそれを形にする術を知っていた。

確かに体格では勝てないかもしれない。ただ、そういった試合における駆け引きは日本の選手が持ちうる武器にもなる。




これからはまだ先がある。
まだ終わったわけではない。

まずは1セット。そして1勝を。

今日の試合は選手の勝ちたいという気持ちが痛いほど感じられた。

それだけに勝てなかったことがとても悔しい。


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