「想像していた以上に、ポルトガルの個々の選手のスピードは素晴らしかったです」
監督は初めにこのように語った。試合前の分析から、1対1の個人の能力の違いも感じていたので、組織やチームの戦術でなんとかカバーできればと思っていたようだが、それも今回は難しかったようだ。
「選手達は最後まで全力で戦ってくれたと思うし、それはチームが1番大事にしてきたことなので、それについては何も言うことはないです」。それについてはということはやはり内容はまだまだといったところか。
ハーフタイムでは、選手たちに怖がるなという指示を出していたという。最初のうちは相手に寄って行っていたが、寄ると相手にはたかれたり、ドリブルで突破されてしまうため選手たちは萎縮してしまったようだ。そこで後半は中央を抜かれないようボランチを3枚、3トップ気味にシステム変更をしたが「3トップのところを基点にできればよかったんですが‥、そのへんもうまくいかなかったみたいです」とのこと。やはり個人能力の違いだろうか。
今日の試合は失点が多く、攻撃もできないという試合だったが、監督は両方反省すべきだと言った。
「失点するということは攻撃がないためです。攻撃できないということは守備がないわけです」と攻撃と守備が表裏一体であるとしたうえで、「日本は攻撃も守備もトレーニングをしたんですが、やはり個人の能力の差は非常にある」。
ここでも敗因は個人能力の差のようだ。ただ監督としては得点をしたかったようだ。日本はまだ実質的なゴール(ロシア戦はオウンゴール)を決めていない。「得点をうばっていたら次のゲームも違ったモチベーションだったかなと思います。メンタルケアをしなければならないかな」と今後の対処の仕方を述べた。
スーパーサブ渡辺の起用についても最後まで機能しなかったようだ。「選手達は疲れてきて、いい準備とかいい判断はできなかったですね」。前のロシア戦は30本近くシュートを打たれても結構いい準備ができていたという。ではなぜこのような差がでるのかというと個人能力の差ということだ。
「ここ2試合得点が0なので、次のマリのゲームではチャレンジするゲームにしたいなと思っています」と最後に抱負を語った。
監督は会見の中で終始「日本とポルトガルの個人能力の差」をあげていた。これが主な敗因のようだ。ただ試合前からその差を感じていたのだから、もう少し事前の対処の仕方があったのではないか。もしそれができていたなら、選手達も、余裕を持ってプレーすることができたように思う。「世界の壁はまだまだ高い」ことを改めて感じる試合となった。
(磯田久美子)
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※この記事は2002年8月12日に掲載されたものです。
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