2002東京大会開催とプレーヤー不足の苦難
東京大会の主催チーム・東京アイスバーンズのキャプテン柴大明選手に聞いた、大会への想いやソルトレーク後の状態、各チーム が抱える問題などについて話をまとめてみた。
●東京大会について
東京大会は、これまでの国内の大会ではあり得なかった「自主的」なものであることの意味が大きい。大会ありき、で選手が集まってくるのではなく、選手のほうから呼びかけをすることでスレッジを広めていこうというものだ。協会や連盟などのレールが無いかわりに、「大会」をつくり上げるための準備はすべて選手とスタッフの手にゆだねられる。会場の手配、資金集め、広報活動、セッティングなどやらなければならないことは山ほどあるが、「東京」という巨大都市を味方につけ少しずつ規模を大きくしていった。開催も3年目を迎える今年は、さらに体験会を催すことを決めた。会場に来ている人で希望するなら誰でもスレッジに乗ることができるというこの体験会は、主催者側の予想をはるかに上回る数が集まった。
1
「来年も再来年も、東京大会を続けていきたい」と話す、東京アイスバーンズ・ 柴 大 明キャプテン
「実際、あれだけの人がスレッジに乗ってみたいと言ってくれたのは驚いたし、嬉しい。
とはいえ、準備した体験用の道具や用具が足りなくなって交代制にしたことで、一人当たりの体験時間が減ってしまったことは悔しいし、申し訳ない」と柴選手。
来年以降の課題は?とたずねると、こう続けた。「選手の負担は大きいし、ボランティアの協力がないと厳しいけど、とにかく東京大会を続けていくこと。そして、体験会もいつまでも受け身ではダメ。スレッジを自ら持ち込んでもっと多くの、東京以外の人にも見てもらわないとね」。
どこまで範囲をひろげられるかはさておき、次を見据えるにあたり今年の大会の成功は、それ以上に価値のあるものになるだろう。
●チーム新規加入者激減の危機
さて、今大会の参加者リストで気になることがある。それは、参加プレーヤーの数が各チームとも減っていることだ。東京も長野も昨シーズンと比べて大幅に減り、北海道に至っては2名の参加。八戸は新しいチームとはいえ、まだ頭数が足りない。どうやら、たまたま今大会が少ないということではなく、チームに所属するプレーヤーが減っているのだという。その理由はさまざまではあるが、新しいメンバーが入ってこないということも原因のひとつといえる。しかし、今年はパラリンピックイヤー。ソルトレークを見てやりたいって言ってくるひとがいるでしょう?と聞くと、答えは「NO」だった。「長野が終わった後はすごい反響だったみたいだけど、今年はさっぱりだよ」。柴選手の表情が少し曇ったのが見てとれた。
ソルトレーク大会は日本の参加メディア数はダントツに多かったが、大会の模様がテレビニュースでほとんど扱われなかったのが大きいという。日本で30分の枠で放送される特集の時間は、ほぼ仕事中で見ることができない。夜の9時以降に期待してても映らないという感じで、この冬は競技に触れる機会が長野と比べて極端に少なくなってしまったことが「NO」の理由だった。
アルペンやクロカンはどうなんだろう。ソルトレーク大会を取材したメディアのひとりとして、今後のスレッジの行方を考えずにはいられなかった。
【文・荒木美晴 写真・越智貴雄】
現在の位置:ホーム > 記事目次 > 101人インタビュー > 東京アイスバーンズのキャプテン・柴大明選手(再)_003