1ピリからアメリカのゴール前へと攻め上がる日本。これまでの課題だったパスワークや相手をつぶすボディチェックはまだ不安定だったが、とにかく前へ前へという姿勢が見られた。
ところが2ピリ目にアクシデントが発生。高橋のスレッジフレームが、アメリカとの厳しいチェックの際に破損、続行が不可能となり高橋はベンチに退いた。このあとアメリカのJoe Howardに1点を返され、2−1で最終ピリオドを待つ。
ここまで調子に波のあるアメリカだったが、試合中盤から細かいパスを出し始めるなど落ち着いた攻撃パターンを繰り出すようになっていた。また、この時点で7回の反則を取られ、ペナルティボックスへ。厳しいというより不可解なジャッジもあり、日本にとっては向かい風となっていた。
3ピリ開始2分、石田のシュートが決まり試合を決定付けたかに思えたが、6分55秒にアメリカのAlexi Salamoneにシュートを許してから、日本の出足が止まってしまった。集中力が途切れたわけではないが、「勝てる」という思いが攻守のリズムを狂わせてしまったように見えた。意識がパックに集まりすぎ、アメリカのパスに翻弄される。日本の「動揺」を見逃さなかったアメリカは左右からセンターから攻撃を仕掛け、11分47秒にBrad Emmersonのシュートで同点に追いつき、さらに13分44秒に再びJoe Howardが得点し、ついに逆転を許す。日本は最後まで再逆転の糸口をつかめないまま試合終了。リンクには抱き合いながら喜ぶアメリカチームと、その場から動けず呆然とする日本選手の姿。対照的な光景が広がっていた。
試合後、控え室から出てきた選手の目は赤く、うつむいたまま。中北監督も目を潤ませ、「メンタル面、体のサポート面での強化が必要。アメリカ、カナダの戦い方を目の当たりにして、この先の2年間の計画を練り直さなければならないと思う」と反省点を口にした。