日本初戦の相手は、年末のトリネーションズカップで負けているカナダ。ソルトレークパラリンピックの敗戦後、チーム再構築に取り組む元世界王者。その借りを返し、この先8日間にわたる長丁場を戦いぬくモチベーションを上げていくためにも、ここで勝利し波に乗りたいところだった。
ところがゲームは厳しい展開に。1ピリ開始早々の27秒、カナダに先制点を許す。その後もカナダはどんどん日本陣地に攻め入ってくる。教科書のようなきれいなラインを描いて、パックが日本選手の横をスルーする。態勢を崩してもすぐにフォーメーションを立て直すという基本の徹底とフィジカルの強さは、さすがの一言。日本は何度かボディチェックで相手の攻撃ルートをふさぎチャンスを作ったものの、そのあとのフォローが足りなかった。日本はカナダの勢いに飲まれたというより、自分たちのプレーを見失っているように目に映った。出足の遅さは以前からの課題だったが、点差よりもその内容に不安を残すゲームとなってしまった。今回、不発に終わった上原は「カナダが強いんじゃなく、うちらが焦って自滅してしまった。まだまだパックに振り回されている」と悔やんだ。
日本と同じAプールのアメリカとイギリスは初戦で激突。1ピリでイギリスが先制するが2ピリでアメリカが大量3点を取り逆転。両チームともまだ本調子ではないとはいえ、主要メンバーが出場していないアメリカの動きの悪さが目に付いた。日本は明日、アメリカと対戦。中北監督の言葉を借りるなら、「日本の力を爆発させて」勝ち、今日の悪いイメージを完全に払拭してほしい。
なお、日本の小木曽選手が事前のフィジカルテストで該当する障害に当たらないとして登録を取り消された。
また、審判の笠原芳文さんが第1試合のアメリカ×イギリス戦と第4試合のスウェーデン×エストニア線で線審として出場。前日に言い渡されたということだが、注目の初戦を落ち着いて裁いた。笠原さんは日本では長野サンダーバーズの本拠地、やまびこの森の職員。ソルトレークパラリンピックでも線審としてリンクに降りた経験を持つ。第一試合の後、笠原さんはホッとした様子で「大会最初の審判をすることになって驚きましたが、気持ちよくできました」と笑顔を見せた。今大会、活躍するもうひとりの日本人にも注目していきたい。