国内のスレッジホッケーシーズン到来を告げる「第8回身体障害者冬季スポーツ大会」が、11月13日から4日間の日程で、長野県岡谷市のやまびこスケートの森アイスアリーナで開催された。毎年、海外から代表チームなどを招いて親善試合を行っており、今年は「世界最強」の呼び声高いアメリカのクラブチーム・RIC・ブラックホークスが来日。長旅の疲れも見せず、日本の長野サンダーバーズと東京アイスバーンズ、そして全日本を相手に全勝し、格の違いを見せつけた。
RIC・ブラックホークスは、NHLの創設当時から存続している歴史ある名門チーム「オリジナルシックス」のひとつ、「シカゴ・ブラックホークス」の傘下にあるチーム。
2002年のソルトレークパラリンピックでは、NHL出身のリック・ミドルトン氏を監督に迎え、アイスホッケーのシステムを取り入れた戦略でライバルをことごとく撃破し優勝したことは記憶に新しい。RIC・ブラックホークスは、その時の代表メンバーであるマット・コペンズ(FW)、さらには大会MVPに輝いたシルベスター・フリス(DF)らを擁している、まさに最強のチームだ。
今年に入って行われた国際試合では、相手より少ないメンバーで、カナダ代表に3−1、ノルウェー代表に6−0というスコアで快勝するなど、堂々たる成績をおさめている。
今回の全日本×RIC・ブラックホークス戦。これまで相手のパスワークと攻撃の幅の広さに翻弄されていた日本メンバーだが、「今までやってきたことを思い出して!」と声を掛け合い、気合を入れてリンクに降りた。
1点先制されて迎えた第2ピリオド。これまでの一方的な展開の鬱憤をはらすかのように、立ち上がりから敵陣に攻める日本。開始から2分42秒、バランスを崩しながらも執念でパックをつなげた三澤(FW)からのパスを上原(FW)が合わせ、同点。しかし、喜びもつかの間、残り2秒で再び得点された。
円陣を組み、監督の指示に耳を傾ける日本チーム。1点ビハインドで最終ピリオドに突入。相手を無得点に抑えたものの、日本も決定打がなく、そのまま試合終了。2−1で敗れた。
悔しさと脱帽感を漂わせながら、ブラックホークスメンバーと握手をする日本代表。メンバーが思わず口にした「強かった・・・」という言葉は、今の正直な気持ちだろう。
日本の関係者は、現状での力の差をこう分析する。「アメリカはホッケーのシステムが完全に出来上がっている。ここであの壁にパックを当てたら、こういう角度で返ってくる、というのがわかっている。チェックのあたりの強さ、スティック一本でも前に進めるボディバランス、パスと攻撃の幅広さ・・・。リンクの使い方もうまい。日本はまだパックに寄っていってしまっている」
長野パラで5位、ソルトレークでも5位。その上に行くために指揮官を入れ替え、出直しをはかってきた日本。新体制になってもうすぐ2年になる。そろそろ結果が欲しいのは、選手が一番感じていることだろう。
日本代表は、来月合宿を組み、年末から年始にかけてカナダ遠征に出る。そして、4月には世界選手権を控えている。節目となるこの大会で、念願の3位以内を目指す。「目標」ではなく、「結果」につなげなければならない。今回のアメリカ戦で得たことをどこまで日本の形に吸収できるかが、大きなポイントになりそうだ。
【荒木美晴】
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