11月の日本選手権大会の予選を兼ねた「2003西日本ゴールボール大会」が京都市の府立盲学校で9月20日から2日間の日程で行われた。
ゴールボールは、バレーボールコートとほぼ同じ大きさのコートで、サッカーのようにゴールラインにそれぞれゴールネットが設置されている。アイシェード呼ばれるゴーグルを目に当て、全く見えない状態にして、鈴の入ったボールをバウンドしないように転がして相手陣地のゴールを狙うという競技。時間内に多く得点した方が勝ちとなる。3対3で行われ、攻撃するチームは相手ゴールの角や弱点を狙って力いっぱいボールを転がす。ディフェンスチームは、そのボールの鈴の音を聞いて方向とスピードを判断し、全身を盾にしてゴールを守る。コートの中でのコミュニケーションは、手をたたく、名前を呼ぶ、床をたたくといった動作だ。自分のいる位置は、コートの中に貼られたラインをさわって確認する(テープの下にひもを通してあり、その凸凹で位置がわかるようになっている)。
「転がす」イメージは、コロコロと前に送り出すのではなく、勢いをつけ腕を振り抜く感じだ。ディフェンスがいい守りをしても、スピードのあるボールは体をはじいてゴールに吸い込まれることもあり、仲間のバックアップも重要になってくる。それだけに、コートに立つ選手の集中力は半端ではない。「見る」以外の全身の感覚で、ボールの行方を追う。
日本ゴールボール協会の京近高典会長によると、「全国の競技人口は200人弱で、女子チームが6チームほど、男子で20チームくらいあります」とのこと。関東以北にはチームがなく、地域的に見ると西高東低のスポーツだ。
全日本女子チームは、昨年末のフェスピック釜山大会で韓国に敗れ2位となったが、今年8月に開催された世界選手権大会では韓国に圧勝し、世界の強豪を相手に堂々3位の結果を残した。これにより、来年のアテネパラリンピック出場権を獲得している。
いっぽうの男子は、体格に勝るヨーロッパ勢に歯が立たず、アテネへの切符は逃してしまった。「たしかに完敗でしたが、手応えはありました。体格差はどうしようもありませんが、戦略と練習量で勝負できるように組み立てていきます」と京近会長。
試合中は、観客からの声援や私語、カメラのシャッター音なども制限される。
●2度目の観戦●
シドニーパラリンピックで初めてゴールボールという競技を観て、「なんで音だけで、動きが判断できるんだろう」と驚いたのを覚えている。サッカーのPKに似ているな、とも思った。足の代わりに腕を使って、ゴールキーパーは3人いるが全員が目隠しをしている、ということだ。アイシェードの下には、さらに平等性を高めるためにアイパッチと呼ばれる大きな絆創膏のようなものが目に当てられている。
今回は2度目の観戦で、間近で観ることができた。投げたボールのスピードは、相当なスピードが出ているように感じた。右か左か、はたまた真ん中に来るのか、判断するのは経験と集中力。私も目を閉じて、気持ちだけ参加してみた。気が付くと、試合にのめり込んでいた。おもしろいスポーツだ。
【荒木美晴】