先日、京都市障害者スポーツセンターへ行き、「障害者シンクロナイズドスイミング」の練習を見てきました。
このスポーツの歴史をたどると、京都市内で水泳教室を修了した人たちがほかに何か自分たちを表現する場をもてないかと考えたところから、定期的にシンクロの練習をするようになったそうです。
1988年の京都国体の開会式では、全国にさきがけてデモンストレーションを行いました。その後、関係者を中心に、全国で講演会などを行い、普及の努力を続けています。2年前の世界水泳福岡大会では、シンクロ競技のジャッジの前で特別に演技を披露するなど、世界へのアピールも積極的です。
現在、障害者シンクロナイズドスイミング界最大の大会は、毎年5月に開催される「障害者シンクロナイズドスイミング・フェスティバル」。ソロ・デュエット・チーム・トリオにわかれて、演技をします。採点はしない、発表会です。関係者は「順位を付けないからここまで人数が増えたということもあるし、もし競技にするとしても採点の基準が難しい」と話します。
第1回大会(1992年)の参加者数は、6都府県から54人。それが今年の第12回大会では、12都府県から287人がエントリーしました。
男女、年齢、障害の有無に関係なくでき、重度の障害でひとりで入水が困難な場合でもパートナーと呼ばれる介助者と一緒に入って演技できるというところが人気の秘密のようです。何よりほかのスポーツとは違い、「見せるスポーツである」であることが、多くの人の心をつかんでいるのでしょう。
参加者のひとりは「みんなで音楽に合わせて演技するのが、こんなに楽しいものだとは思わなかった。パートナーが助けてくれるので移動もできるし、この楽しさを表現したい」と、シンクロの魅力を体感しているようでした。また、このパートナーも演技者のひとりとしてカウントされます。形式としてはボランティアかもしれませんが、全員が息を合わせて初めてチームの演技となります。
まだ世界に障害者シンクロに取り組んでいる国はないそうです。日本がそのパイオニアとなれるように、選手、関係者の努力は続きます。
【荒木美晴】