夏期・冬期パラリンピック出場選手らが発起人となり、選手自らが権利擁護の提唱や障害者スポーツの普及などに寄与することを目的とした「日本パラリピアンズ協会」が設立され、26日、設立総会が開かれた。
総会には、水泳の河合純一選手・酒井義和選手・中條泰治選手、アルペンの大日方邦子選手、アイススレッジホッケーの永瀬充選手、陸上の尾崎峰穂選手・千葉雅昭選手、車椅子バスケットボールの及川晋平選手ら、競技の枠を超えたそうそうたるメンバーが参加。これまでの経緯や会としての方向性、今後の活動内容などについて議論が交わされ、演会の実施、スポンサー探し、ホームページを通しての情報の公開といった具体的活動を決定した。
競技スポーツにおいて、代表選手の選考方法などについて選手側から不満が出ることは、今に始まったことではない。障害者スポーツの世界でも例外ではない。だが、選手側の窓口となる選手会が確立されている海外と比べ、日本にそれは存在していなかった。長野パラリンピックで、各国の選手がIPCに対して自分の意見を主張する姿を目の当たりにし、さらに自らのカナダ留学を通して海外の現状を目の当たりにした永瀬選手は、「日本は甘いと感じた」と振り返る。
決められたことを受け止めるだけではなく、選手が主体となる必要性を実感したことが、この会の発足のきっかけとなった。会の参加資格は「パラリンピック出場者」に限定されている。一方、パラリンピックの正式種目でない競技は、フェスピックや世界選手権が事実上最高峰の大会となるわけだが、それらの競技者は日本パラリピアンズ協会とどのように関わっていくことができるのか。「この会は、エリートの集まりではないことを知ってもらいたい」と報道陣に強調していた彼らに対して、あえて聞いてみた。
「もちろん、いずれはお互いにいい形で関わっていけるといいと思います。しかし、今はまずはこの会を成功させることが一番大切なことだと考えています。オリンピックがスポーツ選手にとって特別なものであるように、パラリンピックも同じ。私たちはどうしても“障害者スポーツ”という枠で見られてしまいがちですが、パラリンピックに出場した選手としての誇りと責任を大切にしていきたいし、多くの人に正しく認知してほしい」と本音を語った。
改めて、彼らのパラリンピックの想いを知るいい機会となった。
日本パラリピアンズ協会ホームページ
http://www.geocities.co.jp/Athlete-Olympia/2113/index.htm
【荒木美晴】