9月6日午後、パラリンピック開幕を翌日に控え、競泳の木村敬一が本番のレースが行われるメインプールで約2時間の練習を行った。
木村選手らしい愛嬌のある笑顔を時折見せ、コーチとコミュニケーションをとりながら、ゆったりした泳ぎでひとかきひとかき、ひと蹴りひと蹴り、丁寧に感覚を確かめるように練習を行った。
「今日の午後はレース水着を着てスプリント練習を。スタートですとか前半の練習を中心に。(リオに)入った時よりもすごく上向いていますし、少しずつですけれども、自信というのも出てきたのかなと。(選手村では)すごく快適な空間でリラックスして過ごせているかなと思います」と、現地入りしてから良い環境で良いコンディションを保てていることを練習後のインタビューで教えてくれた。
木村はこのリオパラリンピックに向け、より戦える身体作りをすべく体制を変えてきたという。
「重点的にトレーニングしてきたのはやっぱり、自分のウィークポイントである100メートルの後半っていうところのトレーニングを自分の中では重点的にやってきたかなと思います。前半からフルパワーで行った時の、そのボロボロになった状態で動かし続ける体を目指してやってました。背中かな」
体制を変えたことがどう結果につながるのか、「自分に期待している」とも口にした木村。
「この日のためにというのが一応ありますし。体制を変えたというのはすなわち僕としてはトレーニングのボリュームを上げたということなので、集大成を感じたい」と語る。
3回目のパラリンピック出場となる木村だが、「回を重ねるごとに(緊張が)高まる」とも語るが、その裏には、100メートル・バタフライが現在世界ランク1位であるなどますます力をつける中でパラリンピアンとしての自覚が高まっていたというのもあるのかもしれない。
「(この4年間で)競泳選手っぽくなれたのかなって思いますね。競泳選手みたいな生活ができるようになった。もちろん環境もありますけど、自分の中の気持ちの持っていきようていうのも、競泳選手みたいだなって。
どんな時でも水泳が中心になって。何をするにも頭のどっかに水泳がある。日々の暮らしに気を使うのもそうですし、ライフスタイルそのものが水泳中心に回っています。金メダルを狙える位置にいるというのも初めてで、これだけ多くのサポートをいただきながらのパラリンピックも初めてで、今までよりも結果を出したいという思いは強いです。今までも思ってますけど、今まで以上に思ってます」
大会12日目から5日間連続で5種目に出場する木村。世界ランク1位で迎える100メートルバタフライを始め、「出場するからには全部メダルを狙ってやります」と意気込みを見せる。
「自分の強みはやっぱりスタートから前半飛び出して積極的なレースですので、そういうところを見ていただければと思いますし、僕だけのレースに限らず、パラリンピックの競泳っていうものが、体一つで、様々な障害を持った選手たちが、残された自分の体を存分に発揮しながらやっている様っていうのもので、人間の力強さを垣間見てもらえたらなあと思います」
テレビ朝日からのインタビュアーに対し「あ、ドラえもんのピンバッチくれって言ったのに。すいません、みんなうるさいんで、僕じゃないですよ。」とお茶目にお願いする木村。表彰台で最高の笑顔を見せてくれるだろうか。