9月6日(火)、バッハ地区・オリンピックパーク内の水泳の練習会場で、鈴木孝幸と池愛里が、開幕を控え練習を行っていた。
練習には、本番で使用するメインプール以外に、ウォームアッププールが使われ、ウォームアッププールには各国が国旗を掲た選手の休息所が併設されていた。
マッサージ台を複数設置しているカナダ、リオデジャネイロで有名なコルコバード丘のキリスト像の絵などの装飾で士気を上げるスイス、大きな旗でエリアを囲み団結感が見えるオランダ、そして国旗にメッセージ等が書かれているのであろう日本。各国の”色”がそんな所からも見えてくる場所で、選手たちは休息をとりながらそれぞれのペースで練習を進めていた。
左脚機能障害を持つ池愛里選手は、今回が初出場の17歳。50メートル自由形など、7種目に出場する。
ピンク色の練習用のスイムフィンにゴーグルを使い、そして白地に花柄模様の水着姿で練習する池。プールから出て髪を結びなおす仕草や、練習後にバナナを食べる姿には女子高生のあどけなさがある。
選手村での環境について聞くと、
「過ごしやすいです。部屋にWi-Fiもありますし、食堂も近くにあって便利です。(他の選手と)一緒にご飯を食べに行ったり、オフの日は一緒に遊んだりしています」と、初めてのパラリンピック生活を楽しんでいる様子がうかがえた。
そんな池だが水泳キャップをかぶりプールに入ると、途端に戦う顔に変わる。ゴムに引っ張られながらのきついであろう練習でも力強い動きを見せていた。この日の練習では「ブレスト(平泳ぎ)のポジションとバック(背泳ぎ)のスタートを特に意識した」という池。一つ一つの動きを丁寧に確認しているようだった。
「だいぶ改善してきました。ブレストのポジションもよくなってきているので。(リオに来て)調整もしっかりできています。練習も減らしてきているので、あとはしっかりレースに臨みたいと思います」
練習後であったに関わらず、明るく笑顔でインタビューに答えてくれた池。7種目に出場する池のパラリンピックでのレースは、大会2日目の50メートル自由形から始まる。
一方、ベテラン鈴木孝幸は、四肢欠損で過去パラリンピックで合計5つのメダルを獲得し、50メートル平泳ぎ(SB3)と200メートル個人メドレー(SM4)の世界記録を持つ期待の選手。自身の身体のコンディションをしっかり把握し、レースに万全の状態で臨めるよう調整を進めているようだ。
「リオに来てから少し体にハリがあって思うようなフィーリングが得られなかったが、昨日をオフにしてしっかり休んだのと、ケアをしてもらったので調子は戻って来た。とりあえずは、明後日の自由形に合わせて調整を進めたい」と、練習後インタビューに答えた。
鈴木は大会1日目の200メートル自由形、5日目の150メートル個人メドレー、8日目の50メートル平泳ぎなどに出場予定だ。
池、鈴木をはじめ、日本選手がどんな泳ぎを見せてくれるのか、初日から目が離せない。
(編集:佐々木延江 取材サポート:細川高頌)