7月18日、横浜国際プールで行われていたジャパンパラ水泳競技大会は2日間の日程を終了、9月に迫るリオパラリンピックに向け最後の公式大会が閉幕した。
リオそして、2020東京に向け「トビウオパラジャパン」と命名された日本代表選手らのパフォーマンス、ともに泳ぐ選手に、観客、多くのメディアが注目した大会となった。
ベテラン組の強さが確認された
アテネ大会より4大会連続出場、イギリスでトレーニングを積んできた鈴木孝幸が、リオに向け200メートル自由形に挑戦。2分59秒29で泳ぎ、アジア記録を更新した。
「予選からのタイムも縮めることができ、しっかりと自分の求めていたタイムを出すことができた。スタート台の違いや水温の高さなど昨日のうちに把握できた。200を泳ぐことで、100にも良い影響があると思っている」と話していた。
北京大会より2大会ぶりに復帰した水の女王・成田真由美は、アテネ以来の200メートル自由形に出場し、長いブランクにもかかわらず、日本記録、自己ベストを更新する泳ぎを見せた。
「練習でもいいタイムが出せている。本番でも出せるだろうとは思っていましたが、嬉しいです。リオが楽しみです」と話し、ベテランぶりに磨きをかけていた。
キャプテン山田拓朗も、長く取り組んできた100メートル自由形で大会記録を更新、この時期をあと押しするタイムを出し順調に大会を終えることができた。
世界1を目指す木村敬一は、1日目まさかのスタート時の失敗。視覚障害の競技の難しさを、あらためて考える機会となった。そして2日目、世界選手権で金メダルを獲得した100メートルバタフライは、多くの人々が注目する中で予選・決勝ともしっかりと終えることができた。
「無事に泳げてホッとしています!」と、笑顔を見せた木村。あと2ヶ月の気持ちを整える中でのアクシデントでまだ安心できないが経験に変えて行けそうだ。
体当たりでパラリンピックに挑む、池愛里
一方、パラリンピック初出場を控える池愛里は、日本代表監督でもある峰村史世コーチのもと成長中である。今大会1日目に6本を泳ぎ、疲れの中でどこまで力を出せるかに挑戦していた。2日目は100メートル背泳ぎのみに出場した。
レースが終わり、池は「初日の疲労が溜まっている中で、どう出せるか。最終日は100一本でしっかり出そうとした。体はバキバキだったが、その中でも気持ちをしっかり向けていけた。タイムはもう少し出したかった」と話した。
池との対話を続ける峰村監督は、
「いいタイムにするということもあるが、まだまだこれからの選手。9月に向けて積んでいくため1日6本に挑ませました。目指していた泳ぎができ、収穫がありました」と話した。リオで池が7種目エントリーするという予定についてはまだ考え中で、経験が浅く、どれが池の本来の種目なのかも含め、2020年を見据えて、たっぷりと経験させたいと考えているようだ。
世界的に多くの選手がひしめく知的障害の競技は、ロンドンパラリンピックから始まった。2大会目になる津川拓也、初出場の中島啓智など男子7名がリオに向け切磋琢磨している。今大会では世界が見えるタイムを出すことができた。楽しみな選手たちだ。
これまでも急速に成長してきたパラリンピックだが、2020年に開催国となり、リオがその直前大会となるため、これまでよりいっそうの注目が高まっている。選手たちには予想以上のプレッシャーを抱えやすい状況が起きていると言え、強い選手を育てようとするスタッフも、ともに初めての道を見極める中で、実力を高めていく慎重なチーム作りのさなかにある。