7月17日と18日、ジャパンパラ水泳競技大会が横浜国際プールで開催されている。初日の17日は、50メートル自由形、平泳ぎ、100メートル平泳ぎ、200メートル個人メドレーなどの種目が、男女それぞれで行われた。横浜での開催は初めて。
今回の大会はリオパラリンピックまでの最後のジャパンパラ水泳競技大会ということもあり、19名のリオパラリンピック日本代表も一堂に会したが、それぞれに明暗が分かれる結果となった。
100メートル平泳ぎでは、リオパラリンピックで金メダル獲得が有力視されている木村敬一(東京ガス)が、視覚障害者のSB11クラスに出場した。木村はスタート直後から徐々にコースを外れ、最終的に2つ隣のレーンに入ってしまったため失格となり、会場が騒然とした。レース後木村は「最初の飛び込みで失敗し、その後立て直すことができなかった。今回は運が悪かったと思い、気持ちを切り替えていきたい」と悔しさを見せた。競技後に行われた壮行会で、「リオでは金メダルを目指してまっすぐ泳いで帰ってきたい」と話し、会場を沸かせた。
木村のコーチを務める野口智博は試合後自身のFacebookで、木村がレーンに入った二人の選手に謝罪をした上で、「明日は、木村はきっとスタートを怖がるでしょう。この怖さ、今晩一晩で乗り越えられるわけありません。それを前提に、どこまで出せるか?どう気持ちを切り替えるかということを念頭に置いて、明日の準備をします」と、今回の失敗が今後のレースに与える影響に懸念を示した。
50メートル自由形と200メートル個人メドレーに出場した一ノ瀬メイ(近畿大学)は、レース後の取材に悔し涙を流した。「正直、気持ちがあまり入っていなかった。リオに向けてレベルを上げていかなければと焦ってしまい、本来であればジャパンパラは調整の時期で、練習量を落とさなければいけないのに、焦りから練習量を落とせなかったことが今回につながった」とレースを振り返った。
一方、50メートル自由形と100メートル平泳ぎ、200メートル個人メドレーに出場した池愛里(峰村PSS東京)は、100メートルで大会記録、200メートル個人メドレーで大会新記録、日本新記録を更新。「出場レースが多かったが、その中でも自己新記録を出せたのがよかった。課題は後半にスピードが落ちてしまうことなので、しっかりと練習していきたい。明日は自分の全力を出し切るつもりなので、どのようなタイムがでるか楽しみ」とレース後のインタビューでは笑顔を見せた。
リオパラリンピック水泳で日本代表のキャプテンに指名されている山田拓朗(NTTドコモ)は、50メートル自由形で大会新記録を更新した。壮行会では選手代表として、「世界のレベルはどんどん上がっているので、厳しい戦いになると思うが、チーム一丸となって頑張っていきたい」とスピーチした。
リオ代表以外の選手も活躍
今回の大会では、代表以外の選手の活躍も目立った。
400メートル自由形S13(視覚障害)で富田宇宙(EYA)がアジア記録を更新した。
200メートル個人メドレーS14(知的障害)で東海林大(山形DC)は、リオパラリンピック日本代表の中島啓智(花見川スイミングクラブ)、津川拓也(ANAウィングフェローズ・ヴィ王子)を抑えて首位でフィニッシュ。日本記録を更新した。
「とにかく優勝したかったので、全力で頑張った。3月の選考会では標準記録に届かず悔しい想いをしたので、挽回できて嬉しい。2018年のアジア大会、東京パラリンピックを目指してこれからも練習していきたい」と、東海林。2020年に向けて意欲を見せた。
大会2日目の18日は、200メートル自由形、100メートル背泳ぎ、50メートルバタフライなどの種目が行われる予定。
(編集サポート・佐々木延江、石野恵子)