第21回関東パラ陸上競技選手権大会が、東京の町田市立陸上競技場で開催された。大会は7月2日、3日に行われ、初日は10000メートル、1500メートル、800メートル、200メートル走や、砲丸投げ、やり投げ、走り幅跳びなどが行われた。
両上肢が正常な車椅子のランナーで構成される男子T54クラスでは、若手とベテランの勝負に会場が沸いた。
2020年の東京パラリンピックでの活躍、もしかしたらリオ選考も期待されている鈴木朋樹(22歳・関東身体障害者陸上競技協会)は、1500メートルの序盤、先頭に立っていた。しかし終盤で樋口政幸(37歳・プーマジャパン)のスパートについていけず、2位でのゴールとなった。しかし800メートルでは、持ち前の瞬発力で先頭に立ち、そのまま樋口など他の選手を寄せ付けない走りでゴール。1分33.34で大会記録を更新した。国内での最高記録となる。
鈴木は「1500メートルでは樋口選手に隙をつかれて逆転されたが、800メートルでは逆に隙をつくことができたと思う。今後は世界ランキング5位以内を目標に、自分のフォームの把握、改善に力を入れていきたい」とこれからに向けて意欲を見せた。
一方樋口は、「1500メートルでは鈴木選手の様子を見ながら、最後で勝負を仕掛けることができた。800メートルでも同様に追いつけると思っていたが、逆に離されてしまった。簡単には負けないが、鈴木選手は確実に力をつけてきている。持久力には自信があるので、あとはスプリント(瞬発力)を強化させていきたい。リオ(パラリンピック)までまだ2ヶ月あるので、もっと高いレベルまで持っていきたい」と今回のレースを振り返った。
女子走り幅跳びでは、片足腿切断などの障害をもつT44クラスで、中西麻耶(31歳・大分県身体障害者陸上競技会)が自身の持つ大会記録を更新して優勝した。中西は「いままでは前半の跳躍でファールが続き、後半で余裕がなくなってしまうことが多かったので、今回は前半にしっかりと記録を出すことを意識していた。思惑通り前半でファールせずに飛ぶことができたので、後半は試しながら今後の課題を確かめることができた。リオに向けて良い調整ができていると思う。これからも合宿などを通して細かく調整していきたい」とリオへの熱意を語った。
今回の大会ではアクシデントもあった。リオパラリンピックでの金メダルも期待されているT42クラスの山本篤(34歳・スズキ浜松AC)は、走り幅跳びの最中に義足が故障。その後の跳躍を棄権した。午後に行われた200メートル決勝には出場し、優勝を果たした。
リオパラリンピックまで残り2ヶ月余り。今回の大会でコンデションを確認した選手たちは、リオへ向けて最終調整に入った。