6月3日、ジャパンパラ陸上競技大会開会式が新潟中央区のホテルで行われた。新潟県内では初開催となる。大会はデンカビックスワンスタジアムで4・5日の2日間にわたり行われる。
日本障がい者スポーツ協会・鳥原光憲会長は「今年で26回目を迎えるジャパンパラ陸上競技大会が、これまでにない意味を持つ大会となった。自己ベスト更新を目指してチャレンジしていただきたい。2020東京パラリンピックを起爆剤として、日本のパラスポーツの発展を加速させていくのが大きな課題。パラスポーツの認知度を高めていくのが大事。そのためにこの大会で限界に挑戦する選手たちの姿を通してパラスポーツの魅力が伝わりファンが広がっていく機会になればと期待している」と挨拶。9月のリオ・パラリンピックにつながる大会に、そして2020東京パラリンピックで大躍進する足がかりになるような大会にしたい、という思いが込められていた。
今大会の標準記録突破でリオ・パラリンピック日本代表に選出される最後の大会となる。
日本パラ陸上競技連盟 吉松時義会長は「自己記録更新やリオ・パラリンピック出場など、それぞれの目標に向け発揮してもらいたい。2020へ熱い思いがつながることを願う。日本パラ陸上競技連盟は7地域に分かれ、互いに連携しながら発展させたい。北信越地域には新潟県、富山県、石川県、福井県、長野県が加盟している。障害者スポーツへの理解と障害そのものへの一般の人の理解が深まること、共生社会作りが進展することを願っている」と述べた。
地元出身の三須穂乃果選手(日本体育大学)が選手宣誓を行った。
選手記者会見
記者会見には、永尾嘉章(ANAORI-AC)、山本篤(スズキ浜松AC)、辻沙絵(日本体育大学)そして選手宣誓を行った三須穂乃香が出席した。
ベテラン・永尾は「明日・明後日は最後の選考会なので、代表に選んでもらえるようにしたい。何事にもあきらめず、可能性を信じて走りを追及する姿を見てほしい。100mに重点をおいて、どのタイミングでフォームを変えてスピードアップするか2週間前につかんだ感覚で成果を出したい」と語った。永尾は、アテネパラリンピック車いす4×400Mリレーで銅メダルを獲得。ロンドンには出場できず、リオが7大会目となる。
山本は、先月行われたリオデジャネイロでのテストイベントで、Daniel Wagner JORGENSEN(デンマーク)に、山本が持っていた(走幅跳びの)世界記録を11センチ上回り更新されたという悔しいエピソードを語った。「世界記録が18日間しか保持できなかったので、世界記録出せれば」と明日からの大会への意気込みを語った。
また、その日を振り返り山本は「ダニエルが前日に『明日のジャンプを見てみろ』と、話したので(世界記録を)出される感じがしていた。6.67mであれば、まだ自分が飛べる範囲内だと思っている。鳥取の日本選手権で痛めた腰の回復は完全とは言えず、リオテストイベントから帰ってきて、長時間の移動で先週は体調を崩していたが、今大会やリオで全力を出せる状態である」とも話した。
三須は「地元での開催。たくさんの応援に感謝の気持ちを表せるように走りたい。今年、日体大へ入学して、2か月ぶりに地元に帰った。落ち着ける場所で成長したところを見せたい。日体大で(辻紗絵とともに)1、2位としたい」と語った。
三須の先輩にあたる辻は、昨年ハンドボールから転向、2ヶ月後に100m、200mで日本新記録をマークした。辻は、ハンドボールの試合で新潟へ来たことがあり、食事が美味しかった思い出があるという。「自己ベストが出せるように。400mでは60秒を切りたい。メダルに届きそうで届かない」と話した。
最後に記者からの「競技前、集中するためにしていることは?」という質問に、山本は、
「100mはスタートに入るとき両脚ジャンプし大声を出す。幅跳びは助走のときに手を横に振る」と。
三須は「スタートラインに立った時、空を見上げ応援してくれる友達の顔を思い浮かべる」、辻は「大切ンな人にもらったベビーリングを握り、サングラスをつける」とそれぞれ話した。
スタート前のなにげない選手のしぐさにも意味があることを思いながら、観戦するのも面白いだろう。
会場は2002年FIFAワールドカップのために建設されたデンカビッグスワンスタジアム。昨年開催された第99回 日本陸上競技選手権大会では集客がうまくいかなかった。新潟日報記者の話によると、紙面で今大会開催について報じており、新潟市民のスポーツへの関心は高い。障害者スポーツを生で見る醍醐味、義足の姿、スピード感など味わえる今大会に、多くの市民に応援に来てほしい。