5月19日から4日間の日程で千葉ボートアリーナで開催された2016ジャパンパラウィルチェアーラグビー競技大会が22日、閉幕した。2020に向けた日本チームの強化の一環として、ここ3年間、海外の選手を招待した国際大会を開催している。
今大会は、世界ランキングトップのカナダを除く、世界ランキング2位・アメリカ、3位・日本、4位・オーストラリア、5位・イギリスの世界の上位4カ国で、リオパラリンピックを占う熱戦が繰り広げられた。
21日までの予選で、世界ランキング上位にあるアメリカ・日本は、3位決定戦に進み、世界ランキング4位のオーストラリアと5位のイギリスがそれぞれ5勝1敗の好成績で決勝戦に挑んだ。この日はねじれ現象とも言われたが、いずれも世界トップチームの戦いであり、各国より現状に近い状態を確認できた貴重な機会となった。
決勝戦(AUS-GBR)
13時よりオーストラリアとイギリスにより行われた。攻めに定評のあるオーストラリア、3番のライリー・バッド(3.5)、10番クリストファー・ボンド(3.5)を中心に試合を展開。イギリス9番ジェームズ・ロバーツ(3.0)との攻防を繰り返した。終始リードし、最終スコア57−49で優勝したのは、オーストラリアチームだった。イギリスにとっても充実した試合の経験となった。
大会MVPは、優勝したオーストラリアチーム3番・ライリー・バット(3.5)。この日が自身の誕生日でもあったパッドは、決勝後の記者の質問に次のように答えている。
「チームに誕生日のプレゼントをもらったようだ。いい日だ。試合には勝ったけれど、いくつか失点もあった。解決策を見つけ、成長が必要だ。今回は、攻撃を仕掛けるという戦略だった。前の3試合は悪い感じがあったので、改善して今回うまくいった。
日本は、全員が良くやっている。私たちは、日本チームの過去の試合を見て勉強した。日本は強くなっているが、私たちの目標も、リオパラリンピックでの金メダル。かならず勝つよ。もちろん、そのための戦略もある」
3位決定戦(USA-JPN)
アメリカ対日本により10時より行われ、56ー51で日本はアメリカに敗れ4位・最下位に終わった。
試合を終えた日本選手とヘッドコーチは次のように語った。
キャプテン・池透暢(3.0):
「世界ランク2〜5位の中で、現状5位くらいの実力であると認めなければ。今後詰めていくことが重要。どのチームにも勝つことができたし、すべて負けているわけではない。悔しさしかないが、リオまでの時間をとらえ、個人のスキルアップ、ラインナップでのスキル、体力、苦しくなることはわかっているので、さらに持久力をつけるトレーニングをしていく」
池崎大輔(3.0)
「世界トップのチームが集まる中で、そう簡単に勝てるとは思っていなかったが、アメリカのフィジカルの強さが見えた試合だった。それに応えられるプレーが求められる。もっとフィジカル、メンタルを鍛え、自分たちのプレーができれば勝てると思う」
荻野晃一・ヘッドコーチ
「課題としては、メンバーチェンジのタイミングがうまくつかめなかったこと。また、この試合ではパスが課題だった。出し手側なのか、受け手側なのか。強い当たりへのフィジカルの対応、まだまだ知識、経験をつけていくことが重要だと思う」(ヘッドコーチ)
<最終結果>
ゴールドメダル オーストラリア
シルバーメダル イギリス
ブロンズメダル アメリカ
4位 日本
MVP:ライリー・バット(3.5級AUS3番)
ベストプレーヤー:
ジョナサン・コガン(0.5・GBR2番)
チャド・コーン(1.0・USA12番)
乗松聖矢(1.5・JPN・22番)
ギャビン・ウォーカー(2.0・GBR4番)
ジョシュア・ウィーラー (2.5・USA10番)
ジェームズ・ロバーツ(3.0・GBR9番)
ライリー・バット(3.5・AUS3番)
(写真;藤井理仁、加藤慶次郎 取材サポート:扇強太、三浦宏之 編集サポート:石野恵子)