リオパラリンピック個人出場資格ランキング1位で2016 ITU世界パラトライアスロン横浜大会を迎えた、米アリゾナ出身のアリサ・シーリー(Allysa Seely)。もともとはランナーだったが、大学1年生の時に初めてトライアスロンを体験し、すぐに「恋に落ちた」という。
「元々ランナーで、常に同じことをするが退屈になってきたので、トラアスロンに転向した。トライアスロンを続けられる理由は日々の練習のダイナミックな変化。1日に2度も3度もスイムのトレーニングに行ったりはしない。毎週バイクもスイムもランもこなす。3つを合わせるのが特に難しい。スイムはバイクに影響するし、バイクはランに影響する。パズルのピースを合わせるようなもの。だからトライアスロンにいつも戻ってくるし、続けられる」 とトライアスロンの魅力を話す。
2013年の手術による左足切断後は、パラトライアスロンでその力を存分に発揮し、現在世界ランキング3位(PT2)に立つ。
今大会の注目選手の一人であり、開催前の記者会見では、「オフシーズンに苦手なスイムを強化してきたので、横浜ではスイムのタイムを上げて、トップ集団で水から上がってきたい。リオに向けての目標は、3種目すべてをレベルアップし、最終的には表彰台の上に立つことだ」と自信を見せた。
今回は日本開催だけに、同じく女子PT2の日本人選手、秦由加子にも大きな注目が集まっていた。自分とは逆にスイムを得意とする秦の存在について、シーリーは「この1年間、秦さんとは何度か大会で戦ったが、彼女は強力なスイマーだ。レースの外ではあまり交流はないが、素晴らしい人物。一緒に戦えることを楽しみにしている。」と語った。
横浜大会への参加は2度目。5月14日、早朝。スイムのスタートでシーリーは出遅れる形となった。秦が11分57秒でスイムを終えたのに対し、シーリーはそれに遅れること2分33秒、14分30秒を費やした。しかしその次のバイクは秦とほぼ同タイムで乗り切り、最後に得意のランで逆転。終わってみれば、トータルタイムは1時間23分49秒と、トータルタイム1時間26分56秒の秦を3分7秒上回った。
レース後のインタビューで、シーリーは「スイムでは泳ぐ方向がずれて無駄な時間がかかってしまった」 と振り返った。「でも予想できないことは必ずあるし、バイクでも道にでこぼこがあった。そういうことへの臨機応変な対応も大事で、今日のレース展開には満足している」とのこと。
今後の展望はどうかと尋ねると、「国に帰ったらまたしっかり特訓して、リオの金メダルを狙いたい」という力強い言葉が返ってきた。勝って兜の緒を締めよ。リオの表彰台の最上段に立つシーリーの姿が今から楽しみだ。