5月14日、世界トライアスロンシリーズ横浜大会パラトライアスロンが行われ、リオパラリンピックで正式種目となったパラトライアスロンに世界から56名の選手が出場。気温20.5度、水温20.7度。穏やかに晴れた朝6時55分にレースがスタートした。
男子PT4
全クラスのトップタイム58分56秒でフィニッシュゲートをくぐったのは、19歳、男子PT4ステファン・ダニエル(カナダ)。スイム9分58秒、バイク30分33秒、ラン16分48秒。
ダニエルの談話;
「スイムではメキシコ、ブラジルの選手についていけるように頑張った。横浜大会は今回初めて。スイムでは水が冷たかったがレースには影響なく集中できた。バイクでは繁華街の方まで走れ、ランもフラットな道で走りやすくコースも充実していた。最後までいい状態でもっていくことができ、優勝でき嬉しい。今後のレースで、トップ選手達と高め合いながら、バイクを強化し、よいコンディションでリオパラリンピックに臨みたい」
日本の男子PT4佐藤圭一(エイベックスグループホールディングス)は7位、タイムは1時間2分54秒(スイム13分55秒、バイク29分、ラン18分27秒)だった。
佐藤の談話;
「力を出せた走りだが7位、目標の表彰台を逃した。ダニエルは速い。自分はベストを出した走りだった。スイムに波があり出遅れた。バイク、ランと自分の目標としていた表彰台に届かなかった。スイムはスカーリングなどベーシックなテクニックを上げていく必要があるが、すぐに力がつくわけではない。リオに向け、ハードになってきた」
女子PT2
女子PT2は、昨年優勝した秦由加子(マーズフラッグ稲毛インター)と世界ランキング3位のアリサ・リーシーとの一騎打ちとなった。結果はアリサが1時間23分49秒でフィニッシュ、素晴らしい勝利を収めた。
アリサの談話;
「全体的にはうまくいった。ただスイムでは泳ぐ方向がずれて無駄な時間がかかってしまった。バイクにも課題はあったが、ランはうまくいった。予想通りのレースができたが、予想できないことは必ずあるし、バイクで道のでこぼこがあったりもする。臨機応変な対応もできて、基本的に満足しています。国に帰って、またばっちり特訓して、リオでの金メダルを狙います。レース環境は非常に秩序正しく運営されていた。沿道での応援の声もとてもよかった」
秦のタイム1時間26分56秒(スイム11分57秒、バイク40分11秒、ラン30分17秒)は、自己ベストを更新した。2位ではあったものの成長を確実にしたレースだった。
秦の談話;
「たくさんの声援があり素晴らしかった!練習もできていて、調子は万全でした。横浜で自分の成長を感じることができた」と力強く語った。エントリー2名。ライバルに世界ランキング3位のアリサ・シーリーを迎え、初めて30秒の壁を切るタイムで、リオにつながる表彰台となった。
男子PT1
男子PT1はビル・チャーフィー(オーストラリア)で、タイムは58分57秒(スイム11分22秒、バイク32分24秒、ラン12分4秒)。
競泳出身の日本の木村潤平(ABCキュービック)は4位、表彰台を逃した。
タイムは、1時間6分47秒(スイム11分58秒、バイク35分58秒、ラン16分19秒)
木村の談話;
「ランの1週目までは良いペースだった。最後に追いつかれて、メダルを逃した。バイクで疲労した状態でも走れるようにしたい。課題はたくさんある。バイクで攻めていけるようになりたい」
女子PT5
女子PT5山田敦子は、フィニッシュ後ミックスゾーンでガイドに抱きかかえられて号泣した後、今日のレースを振り返っての第一声。「優勝狙っていたので悔しかった。まだまだです」
今回のレースは世界ランキングが近いアスリートが多く(山田敦子8位、PT5に出場した4人は7位から11位の間)優勝しなくてはいけなかったのに叶わなかった。「今回は時差もなく沿道の応援もすごかった。本当に悔しい、もう一度やり直します」と山田。
富川理充JTUパラリンピック対策リーダーの談話;
横浜でのレースを終え、富川理充(JTUパラリンピック対策リーダーは「会場、スタッフ、沿道の声援など、最高のコンディションの大会で、選手たちも力を出し切ることができた。昨年ならば優勝できるタイムが、リオを前にして、世界が環境を整えて挑んできた大会だった」と話していた。
<参考>
公式記録(横浜トライアスロン情報サイトPDF)
http://www.jtu.or.jp/results/2016/2016yokohama_para_result-J.pdf
取材協力:田中えなみ・潮田耕一・渋谷仁美・扇強太