4月12日「パラ水泳ワールドシリーズ富士・静岡2025」最終日。今大会は、9月にシンガポールで開催される世界選手権の日本代表選考を兼ねており、日本代表をめざす選手にとって重要なレースとなっている。

「世界選手権に行きたい」という思いを胸に出場した男子400m自由形ユースファイナルで、川渕大耀(S9/NECグリーン溝口)は、派遣標準を突破する4:18.16(=943ポイント)で、金メダルを獲得した。

予選から10秒以上タイムを伸ばす快泳を見せ、A決勝には届かなかった悔しい気持ちを切り替えて自己ベストを更新、レース後に大きな笑顔をみせた。
インクルーシブな競技環境がもたらすチカラ
「大耀なら大丈夫」と支えてくれたチームメイトに感謝したという川渕の練習環境は、知的障害(=S14)の選手と身体障害(S1〜S13クラス)の選手が日常的にクラスを超えた仲間で成長するスタイルだ。
半年前、初出場のパリで世界の厳しさに打ちのめされ、長年馴染んでいた宮前ドルフィンから、自分の成長にフィットする環境を求めてNECグリーン溝口に移った。現在はライバル関係にある松田天空(S14)の好記録に刺激を受けながら取り組んでいる。

「自分一人で泳いでいるんじゃないと思える」と語る川渕の言葉には、クラブでのインクルーシブな仲間と練習環境に対する信頼と連帯が感じられる。

今日の川渕のレースは、日本の若手パラ水泳界における新たなチームピルディングへのヒントと、切磋琢磨の力を示した。
(写真取材・秋冨哲生)