関連カテゴリ: インクルーシブ, ワールドシリーズ, 国際大会, 地域, 夏季競技, 新着, 普及, 東京パラムーブメント, 水泳, 水泳トップ, 浜松, 知り知らせる, 講演会, 静岡 — 公開: 2024年12月6日 at 3:38 PM — 更新: 2024年12月10日 at 6:47 PM

「ワールドシリーズ」初開催に向け鈴木孝幸が地元静岡で講演。河合純一と共にパラ水泳最強コンビが発信!

知り・知らせるポイントを100文字で

「パラ水泳ワールドシリーズ」が、ついに日本・静岡の地に。 開催地となる静岡県は、日本パラ水泳連盟・河合純一会長、パリ金メダリスト鈴木孝幸という二人のパラリンピアンの故郷。東京2020パラリンピックのレガシーを受け継ぎ、パラスポーツを通じた新たな地域づくりが、いま静岡から始まる!

パリ2024パラリンピックで金3個・銀3個・銅6個のメダルを獲得した日本のパラ水泳全体は、東京パラリンピックでの活躍からさらなるレベルアップが伺える。次の大きな注目は、2025年4月に静岡県富士市で開催される「パラ水泳ワールドシリーズ富士・静岡2025(Para Swimming World Series 2025 Fuji-Shizuoka/World Para Swimming主催、以下ワールドシリーズ)」だ。12月5日、日本初となるこの大会に向けたお披露目が、地元出身の金メダリスト鈴木孝幸(ゴールドウイン)と日本パラ水泳連盟の河合純一会長によって行われ、メインイベントの「鈴木孝幸講演会」には、地元の中高生やファンなど230人が集まった。

集まった地元の人々に自分のことを語る鈴木孝幸(ゴールドウイン)。パリでは金1・銀2・銅1合計4個のメダルを獲得した。 筆者撮影

鈴木孝幸が講演

生まれつきの四肢欠損で、里親に育てられ、パラリンピックトップ・スイマーとなった鈴木は、地元の人々に向けて、あらためてパリ大会の報告や、自身の生い立ち、そして20年間に渡るパラ水泳選手としての成長の秘訣を詳しく語った。

パリパラリンピック初日(8月29日) 50m平泳ぎSB3を16年ぶりの自己ベストで泳ぎ終えた鈴木孝幸 写真・中村 Manto 真人

会場に集まった高校生に向けて、鈴木は高校3年生で初めてパラリンピックに出場したことや、16年前に世界記録を更新して、金メダルを獲得しながらもパラリンピックがオリンピックと区別され応援も少なかったことを見て「同じだけトレーニングをしている、パラも注目してほしい」と、記録やメダルにつながる泳ぎに取り組み「オリンピック選手よりもオリンピック選手らしくなろう」と決心していたことを明かした。

パリパラリンピックでの鈴木孝幸の応援席 写真・中村 Manto 真人

「勝利至上主義への批判もありますが、オリンピック・パラリンピックに関しては、自分は勝利至上主義でいいんじゃないかと思っています。もちろん、メダルや勝利の前に学ぶことはたくさんありますし、スポーツマンシップは大前提ですが、変えられないことと、変えることができることがあります」と鈴木は話す。

パリパラリンピック最終日(9月8日)の競技を終えたプールで記念撮影。鈴木孝幸(中央)、木村敬一(右)、窪田幸太(左) 写真・中村 Manto 真人

「練習を悔やんだり、ライバルと比べても過去の記録は変えられないし、健常者がやっているトレーニングが同じようにできるわけではない。足が長ければモテたのにと悔しい思いもありました。それらは変えられないけれど、手足が短い中で、どういったトレーニングができるか、自分のいい点、弱点に目を向けて工夫したり、練習を変えることはできます」と、自身の考えを語った。
近年、国際パラリンピック委員会(IPC)アスリート委員を経験、世界を代表するアスリートとして視野を広げた鈴木は、その原点を支えた地元開催のワールドシリーズに向けて大きな期待を寄せている。

河合純一「開催の意義は3つ」

金メダル5個を含む日本最多の21個のメダルを獲得したパラリンピアン河合純一氏は、現在、日本パラ水泳連盟会長、日本パラリンピック委員会委員長、日本パラスポーツ協会強化部長を務めている。映画「夢おいかけて」の主人公であり2016年には日本人初のIPC殿堂入りを果たした。地元でのワールドシリーズ開催の意義について次の3点を伝えた。

北京パラリンピック(2008年)100mバタフライ(銅メダル)の河合純一の泳ぎ 写真・一ノ谷信行

1、世界のパラ水泳選手のパフォーマンスを見せたい

東京2020パラリンピックが1年延期・無観客で開催されたため、多くの国民、特に子どもたちにパラ水泳のパフォーマンスを実際に見てもらえていない。ワールドシリーズを開催することで、多様性やインクルージョンの普及をさらに進めたい。

2、世界の選手と戦う機会を作りたい

日本のパラ水泳の競技力向上のために同じような障害の選手と競う機会をつくりたい。特にジュニアの選手たちが世界トップレベルの選手たちの横で泳ぐ環境を作り10年先を見据えた人材育成としたい。トップレベルの競技を日本の多くの障害のある人に見てもらうことで大きな愛好を生み出したい。

3、アジアへの貢献

アジアには、開発途上国がまだまだ多く、パラ水泳の普及は進んでいない。ASEANカンボジア派遣など国とともに行ってきたが、東京2020パラリンピックのレガシーとして国際貢献の一つとして開催し、アジアのパラスポーツの発展に寄与したい。

アテネパラリンピック50m自由形で金メダルを獲得した河合純一(2014年) 写真・吉村もと

そして、「なぜ静岡なのか」という点について、河合・鈴木というパラ水泳界のレジェンドがともに静岡県出身であること、そして「日本一、パラスポーツで幸せを実感できる県になる」というビジョンを掲げた「ふじのくにパラスポーツ推進コンソーシアム」が静岡県に設立されたことを強調した。

ワールドシリーズは世界のパラスイマーのための格式のある国際水泳大会で、昨年は 9 か国で開催され、シンガポールが唯一のアジア開催地だったが、2025-2026年の2年間、日本での開催が決定した。来年4月7日からクラス分けが行われ、競技は10日〜12日まで開催される。

講演会が終わり記者たちのインタビューに応じる鈴木孝幸(左)と河合純一会長(右) 筆者撮影

会場の静岡県富士水泳場には20カ国から約200人のパラスイマーが出場を予定している。東京パラリンピックで生観戦できなかった世界トップ・スイマーによるパフォーマンスをぜひ楽しんでほしい。

<参考>
・IPC記事:「World Para Swimming confirms four host cities for 2025-2026 World Series
・日本パラ水泳連盟公式:「パラ水泳ワールドシリーズの開催が決定

スポンサーシップに関して
ワールドシリーズむにけたスポンサーシップが募集されている。スポンサーシップ・メーニューには大会名称タイトルやロゴマークの使用権、招待チケット、ジュニア観戦企画でのパンフレットへの社名掲載権などがある。

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