関連カテゴリ: インクルーシブ, 周辺事情, 地域, 夏季競技, 川崎, 新着, 普及, 東京パラムーブメント, 横浜, 水泳, 水泳トップ, 知り知らせる, 神奈川, 重度障害 — 公開: 2024年11月23日 at 10:00 AM — 更新: 2024年11月23日 at 11:18 AM

「鈴木孝幸杯」競い合いで社会を変える!いよいよ明日、横浜国際プールで開幕

知り・知らせるポイントを100文字で

パラリンピアンのリーダー・鈴木孝幸による「Suzuki Takayuki Cup」をより楽しむための見どころ、そして会場のパラ水泳の聖地・横浜国際プールに関する背景をまとめました!

横浜国際プール(サブプール)で11月24日に開催される「鈴木孝幸杯インクルーシブ短水路水泳競技大会」は、パラリンピック金メダリスト鈴木孝幸が競技以外に初めて取り組む大会企画だ。そこで鈴木は、健常者と障害者がただ一緒に泳ぐのではなく「高い競技性で競い合える」ワンランク上のインクルーシブを形づくろうとしている。

パリパラリンピック最終日(9月8日)の競技を終えたプールで記念撮影。鈴木孝幸(中央)、木村敬一(右)、窪田幸太(左)鈴木孝幸杯にはパリ日本代表も勢揃いする。 写真・中村 Manto 真人

「水泳の特性を活かして、障害の有無に関わらず高いレベルで競い合い楽しめる競技会」と鈴木は語る。東京2020パラリンピックで大きな盛り上がりを見せたパラスポーツだが、その後、イベントやメディアの露出は減少傾向にある。この大会は、東京2020へのムーブメントを一過性の盛り上がりで終わらせないための具体的なアクションとして企画された。

“同じ土俵”を実現する採点方式!

障害の有無にかかわらず、全選手が同じ土俵でメダルを競い合う——その実現のため、独自の採点方式が導入される。
鈴木とともに大会を運営する日本パラ水泳連盟の細川慶隆氏は、その仕組みをこう説明する。
「パラ水泳選手はWPS(World Para Swimming)、競泳選手とデフ選手はWA(World Aquatics)のポイントシステムを適用します。パラは各クラスの世界記録、健常の選手も同様に、世界記録を基準としたポイントで評価。SEIKOのタイミングシステムで計測された実測タイムをポイント換算し、予選上位8名が決勝に進出。決勝でのタイムも再度ポイント換算して順位を決定する仕組みにより、公平な競技環境を実現します」

この画期的な取り組みは、鈴木がイギリスを拠点に8年間競技生活をする中で着想を得たものだ。公式レースでは前例のない試みであり、今大会が初めてのトライアルとなる。

予想を超える反響

大会への参加申し込みは予想を大きく上回り、健常者99名、聴覚障害者4名、肢体不自由者・知的障害者94名、合計197名が参加を予定。種目エントリー数は431に達し、パラ選手が222種目、健常選手が209種目となった。大会のコンセプトが多くのアスリートの心に響いた証といえる。

細川氏は「パラの選手が多いかと思ったら意外と健常の選手もたくさん出てくれる。鈴木孝幸というブランド力の大きさを実感しています」と手応えを語る。

競技と演出、両面での挑戦が見どころ

大会は25mの短水路で実施される。予選と決勝の2ラウンド制を採用し、決勝では選手紹介に時間をかけ、華やかな演出を予定。また、健常、聴覚障害、身体障害、視覚障害、知的障害の選手で10人×2チームのエキシビション形式で泳ぐ「インクルーシブリレー」も実施される。
「高いレベルで競い合い、楽しめる競技会にしたい」と鈴木。競技性とエンターテインメント性の両立を目指している。

危機に立つ「パラ水泳の聖地」

「パラ水泳の聖地」として知られる横浜国際プールのメインプールが、老朽化による再整備計画の中で存続の危機に直面している。横浜市は予算削減を理由に、メインプールの廃止を提案。「サブプールがあれば十分」という安易な判断に、水泳関係者からは強い懸念の声が上がっている。

これについて細川氏は「今回の鈴木孝幸杯はサブプールで開催する短水路大会だが、将来的に国際的な大会として発展させていくためには、国際規格を満たすメインプールが不可欠です」と指摘する。

積み重ねてきた歴史と実績

横浜国際プールは1998年の開業以来、「国際競技用プールでありながら市民に開かれたプール」というコンセプトを実践してきた。横浜以外の地域では障害者がプールをほとんど使えない時代に2001年から日本知的水泳選手権大会が開催され、東京パラに向けて2016年からはジャパンパラ水泳競技大会を開催した。2019年には東京にパラアスリートが優先的に使用できるNTC(ナショナルトレーニングセンター・イースト)がオープンし、横浜国際メインプールはそことも連携した強化を担うようになった。東京、パリパラリンピックでの日本選手団の活躍を支えた重要な拠点である。

鈴木の挑戦とプール存続の意義

鈴木孝幸杯の革新的な試みは、パラスポーツと一般スポーツの新たな関係性を示す重要な一歩となる。「共生社会という言葉自体が必要なくなるほど、その概念が当たり前になった世界を作りたい」という鈴木の理念を実現するためには、国際規格を満たす施設が不可欠だ。

来年4月に日本で初めてのWPS(ワールドパラスイミング)ワールドシリーズの開催が静岡となった。概ね20〜40カ国、150〜400人のアスリートが出場する。パラ水泳の国際的な盛り上がりが期待される中、その「聖地」とも言える施設の存続が危ぶまれている状況は、日本のパラスポーツの発展にとって大きな岐路となるかもしれない。

横浜市でパラスポーツを担当する健康福祉局は日本のパラ水泳を支えてきた横浜国際プールの歴史と意義を理解し、障害のある人がインクルーシブにスポーツを楽しむ権利を護る必要があるのではないか。鈴木の革新的な試みを発展させ、国際的な大会として確立していくためには、適切な施設の存続が不可欠だ。

未来への布石

今回はパラ水泳連盟の国内公認大会となった。将来的には国際公認の大会となることを目指している。鈴木は「最終的には、オリンピック・パラリンピック選手、関係者はもちろん、世界にも認知される水泳競技会にしていきたい」と展望を語る。

そして、東京パラリンピックから共生社会実現への「橋渡し」となる活動が求められる中、この大会がその一歩を示すものとなりそうだ。会場での嬉しい生観戦、YouTube公式チャンネルでも観戦できる。

【大会概要】
日程:2024年11月24日(日)
会場:横浜国際プール(サブプール)
参加予定:約200名
観戦:一般観戦無料
主催:鈴木孝幸杯実行委員会
協力:日本パラ水泳連盟、日本知的障害者水泳連盟、日本デフ水泳協会、川崎水泳協会
特別協賛:株式会社ゴールドウイン スピード事業部
協賛:日本財団HEROs、味の素株式会社

<参考>
インクルーシブへの新たな挑戦「Suzuki Takayuki Cup」がひらく未来(前編)
静かなる挑戦者の素顔「Suzuki Takayuki Cup」がひらく未来(後編)
World Para Swimming 2025-2026 World Series
パラ水泳の聖地・横浜国際プールがなくなる?
鈴木孝幸杯ビジュアル

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