パリ2024パラリンピック競技大会の閉会式が9月8日(日本時間9日)、パリ最大級のスタジアム、スタッド・ド・フランスで開かれた。
史上最多の167の国と地域、それに難民選手団から約4400名のアスリートが熱戦を繰り広げたパリパラリンピック。日本からは175名のアスリートが出場し、金メダル14個、銀メダル10個、銅メダル17個の計41個のメダルを獲得した。旗手は水泳男子100メートルバタフライ2連覇、50メートル自由形で金メダルを獲得した木村敬一、卓球シングルスで日本人初の金メダルを獲得した和田なつきが務めた。
パリ大会のレガシー
「開かれた大会」をテーマに、オリンピック・パラリンピックとして初めて競技場の外で開会式が行われた今大会。オリンピックではセーヌ川でのパレードが、パラリンピックでは凱旋門を背景にシャンゼリゼ通りでのパレードが話題を呼んだ。
パリ2024大会組織委員会のトニー・エスタンゲ会長は「私たちはゲームを通じて、自分たちの伝統、創造性、そして偉大なことを達成する能力を再発見しました。私たちを結びつけるものは共通の記憶。この夏、人々が互いに語り合い、フランスは幸せでした」と話し、分断する世界でスポーツが生み出す力や連帯を改めて強調した。また12日間の熱戦を繰り広げたアスリートには「最も盛大で長い喝采を送りましょう」と観客に呼びかけ、約30秒の長い拍手で活躍を讃えた。
国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長は今後のパリについても触れた。「認識と拍手の後には、受け入れと行動が伴わなければなりません。私たちにはパリパラリンピックの機運をさらに高めて、私たちの周りの世界をよりインクルーシブなものにする責任があります。“インクルージョン革命”です。これはアスリートだけでなく、世界の 13 億人の障害を持つ人々にとってもレガシーとなるでしょう。12日間のスポーツを超えて、私たちは社会に存在する障壁を打ち破らなければなりません」と話し、パリ市が計画段階にある地下鉄のバリアフリー化「METRO FOR ALL(誰にも優しいメトロ)」についても「現実のものにしましょう」と改革を訴えた。
パリからロスへ
会の終盤には2028年のホストシティ、米ロサンゼルスが登場。次の開催地にパラリンピック旗が渡される「ハンドオーバーセレモニー」が行われた。「カリフォルニア・ドリーミン」をテーマに上映されたショートフィルムでは、“夢追い人”であるLA出身のパラリンピアンやアーティストが出演。「LAは夢が現実になる街。夢を見る力は私たちを人間らしくしてくれる。人種、性別、障害、セクシュアリティ、信仰に関係なく、私たちをひとつにする」というメッセージで、夢を持つことの大切さを伝えた。
最後は観光地ベニスビーチのスケートパークで、義足や車いすのスケートボーダーたちが縦横無尽にパフォーマンスを楽しむ姿も。LAのビーチ×スケボーカルチャーを存分に打ち出し、ロス大会への期待を大いに高めた。
舞台は4年後へ。パラリンピック初開催となるロサンゼルスへ、思いは引き継がれた。
(校正・そうとめよしえ)