パリパラリンピック大会11日目最終日(9月8日)、陸上競技最後を締めくくる男子マラソンT54がジョルジュ・ヴァルボン公園からスタートし、アンヴァリッドでゴールするコースで行われた。レースはスイスのHUG Marcelが後続を3分あまり引き離し1:27:39で圧勝。東京大会からの連覇を果たした。また、日本の鈴木朋樹が3位、銅メダルを勝ちとった。
金メダルについてHUGは「すごく疲れた。特に石畳はきつかった。とても嬉しい。スタートはとても速かったので、しばらくは中国のJIN Huaと並走したが、スパートして引き離すことができた」と笑顔を見せた。
鈴木朋樹「歴史に名を刻むことができた」
日本の鈴木朋樹はレース終盤になってJINとの抜きつ抜かれつを繰り返した。一時は前に出た時もあったが、最後のスプリント勝負に敗れ、わずか0.04差の1:31:23で銅メダルとなった。
鈴木は「とてもタフなコースだった。最後のほうは、力尽きるかもしれないと思ったこともあった。しかし、両親からあきらめないことを学び、それを胸に目標に向かって努力したことが功を奏した。歴史に名を刻むことができた」と語り、今後について、「銅メダルを日本に持ち帰り、次の世代の若い人たちにこの経験を伝えて、日本の車いすレースの選手たちが成長できるようにしたい。私も次はロサンゼルスを目指す」と語った。
女子マラソンT12に出場した道下美里は3:04:23でゴール。当初4位だったが、上位のスペイン選手が失格となったため3位に繰り上がり3大会連続のメダルを獲得した。この他、女子マラソンT54に出場した土田和歌子は6位、男子マラソンT12に出場した堀越 信司7位、和田 伸也9位、熊谷 豊10位だった。
オリンピアン・Rebecca Cheptegeiへの追悼
ブラインドクラスのレースも含め女子の最終走者が到着した後、オリンピックの女子マラソンに出場したウガンダのRebecca Cheptegeiが、パラリンピック期間中の9月5日に暴行により死亡したことを追悼する黙祷が捧げられた。後日パリ市内に彼女の名がスポーツ施設に冠される予定だという。
ウガンダからは、水泳のHusnah Kukundakweのような東京大会から出場選手の成長も見られた一方で、まだまだ社会不安が尽きない。パリオリンピック・パラリンピックを通じて最終日となるこの日にあらためて、そのような女性への暴力を断固として許さない姿勢を示した。
(構成・編集 佐々木延江)