関連カテゴリ: Paris2024, フランス, 取材者の視点, 周辺事情, 国際大会, 夏季競技 — 公開: 2024年9月8日 at 3:34 PM — 更新: 2024年9月8日 at 4:13 PM

【パリの街角から】もうひとつの祭典。障害者アーティストの作品がパリに集結。「何をおいても芸術」に込めた思いとは

知り・知らせるポイントを100文字で

パリ市内ではパラリンピック期間に合わせ、障害を持つアーティストの作品を紹介する無料展覧会が開かれていました。アート界もまた多様性の祭典の一つを担っていると実感。

9月8日まで開催中のパリ2024パラリンピック。競技の行方はもちろんのこと、せっかくなら街の雰囲気や人との出会いも伝えたい。祝祭ムード溢れるパリの街角から、現地の様子をお届け。

パラリンピックの期間中、パリ市内では障害のあるアーティストの作品を紹介するアート展が開かれた。

8月28日から9月8日まで開かれたアート展「L’Art coûte que coûte」。パラリンピック期間に合わせ障害のあるアーティストの作品が一堂に会した。筆者撮影

パリ中心部のオランジュリー・デュ・セナで開かれたのは「L’Art coûte que coûte(ラール・クトゥ・ク・クトゥ)」という名のアート展。フランス語で「何をおいても芸術」を意味し、アートやクリエイティブの大切さを訴えた。会場には障害のあるフランス人アーティスト30人による約80点の作品が展示され、カラフルな色彩で来場者の目を楽しませている。

展覧会の主催はAPFフランス・ハンディキャップ協会。担当者によれば、会は戦争や暴力に代わるポジティブな選択肢として芸術を推進し、障害者の才能や視点を紹介することがねらい。タイトルの「何をおいても芸術」にはそんな思いが込められているという。

絵とダイビング

マーティン・ビュッフェの作品。豊かな色彩と流れるようなタッチに多くの人が足を止めた。

作品もさることながら、作風も個性的。アーティストの一人、マーティン・ビュッフェは車いすユーザーであり、水中アーティスト。幼い頃に神経筋疾患であるシャルルボワ・サグネ失調症を患い、病気の進行で車いす生活に。3年前のブルターニュ移住をきっかけにダイビングに出会い、仲間の協力で“水中で絵を描く”という偉業に成功した。以降、海や水をテーマにした作品を残している。

彼は協会のインタビューで日常での不便さに触れた上で「水中で出会った自由をうれしく思った」と語る。その自由を喜ぶかのような躍動感あるタッチが心に残った。

担当者は「障害者は他の人にもたらすものがたくさんあります。特に芸術の面で、多くをもたらしています」と話す。アートの祭典もまた、パラリンピックの大切なメッセージを届けている。

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