関連カテゴリ: Paris2024, サッカー, ブラインドサッカー, ブラインドスポーツ, 今日の注目記事, 取材者の視点, 国際大会, 夏季競技 — 公開: 2024年9月7日 at 1:27 AM — 更新: 2024年9月8日 at 11:00 PM

【ブラインドサッカー】中川JAPAN、最後までゴールが遠かった。全敗無得点で競技を終了。決勝は地元フランス対アルゼンチンに!

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9月5日、ブラインドサッカー日本代表はトルコと7位決定戦を戦った。第1ピリオドは日本が優勢であるも1点を取れず。逆に第2ピリオド、FKから1点、残り2分で2点目をトルコに決められ、日本は敗れた。なお、ブラジルの6連覇をアルゼンチンが止め、地元フランスと金メダルを争うことになった。

試合前の国歌斉唱。写真・中村 Manto 真人

9月5日、ブラインドサッカー4日目は、5位、7位の順位決定戦と、準決勝2試合が行われた。ブラインドサッカー日本代表中川JAPANは7位決定戦に出場。グループA4位のトルコと対戦、0-2で敗れ8位(最下位)でエッフェル塔スタジアムを去った。

日本は、GKをコーチ兼プレーヤーの佐藤大介(背番号1)から泉健也(背番号15)に替えた以外は、佐々木ロベルト泉(背番号3)、キャプテンの川村怜(背番号10)と平林太一(背番号6)、後藤将起(背番号8)の1-2-1とモロッコ戦、アルゼンチン戦と同じ。トルコの先発は、GKがキャプテンのYILDIRIR Kerem(背番号23) 、その前にCOBAN Celal(背番号10)、 AYDENIZ Recep(背番号2)、攻撃は OKTEM Muhammed Ali(背番号3)、 SATAY Hasan(背番号11)が担う。キープレーヤーのASLAN Emre(背番号7)はベンチスタート。トルコの世界ランクは15位。日本は東京大会以降3度対戦して2勝1敗、直近では6月のIBSA World Grand PrixでSATAYに2点を決められ1-2と敗れた。

小雨の中のキックオフ。第1ピリオド、最初に客席を沸かせたのは平林のプレー。3分、自陣12mラインでルーズボールを収めるとドリブルで相手DFをかわして20m以上運びゴール前まで進むもシュートはジャストミートせず、GKにキャッチされる。続く4分には後藤がシュートするもゴール左に外れる。8分には平林が左に流れるドリブルからゴール右側へシュートを放つも相手GKの好守に阻まれる。10分過ぎると川村が積極的にピヴォの位置に上がりゴールを狙う。12分に8m付近左からカットインしてシュート。その直後にも川村が同じトライをするも、共にGKに防がれる。

川村(中央10番)12分のシュート。写真・中村 Manto 真人

残り2分を切ったところで再度川村がドリブルからシュートを狙うが前に2枚DFがおり、シュートはヒットしなかった。川村自身「雨が降ってスリッピーなため、ちょっとシュートが浮いてしまった。もっと転がしたかったのだが」と振り返った。日本は得点を奪えないまま第1ピリオドを0-0で終わる。コーナーキックの数が、日本は11あったのに対してトルコは3、これだけ押していてもゴールが遠かった。

ロベルト(背番号3)と競るトルコのASLAN(背番号7)。写真・中村 Manto 真人

第2ピリオド、「前半の展開を継続しながら守備から攻撃へ繋げていこう」と確認した日本。ピヴォ高橋裕人(背番号4)、左アラ川村、右アラ鳥居健人(背番号11)、フィクソに平林という布陣でゲームに入る。「相手のSATAYは比較的体格で押してくる選手なので、空間認知力の高い、鳥居、平林で肉弾戦になる前にボールを奪い、カウンターに繋げる」と中川英治監督は試合後、その意図を語った。実際3分に鳥居が自陣12mライン付近でASLANのボールを奪いドリブルで運ぶなど効果があった。

ドリブルで持ち上がる鳥居(背番号11)写真・中村 Manto 真人

4分には平林が右からカットインしゴール正面で左足のシュートを放った。しかし7分、ASLANの左右に軌跡を描くドリブルへのディフェンスが遅れ、彼を止めるために後藤がゴール正面7m付近でファールを冒しFKを与えてしまう。キッカーはSATAY。日本はやや右寄りに4枚の壁をつくる。トルコは日本の壁の左端に人を置き、ゴールポストと壁の間にわずかな空間ができるように日本選手をブロックする。その隙間を縫って、ゴール左上にシュートが突き刺さり、トルコが1-0と先制する。「この1点でメンタル的に急いでしまい、立て直すことができなかった」と川村は振り返った。

GK泉(背番号15)の手の先をかすめてSATAYのFKがゴールに突き刺さる。写真・中村 Manto 真人

その後日本は次々とトルコ陣内に攻め込む。川村、平林、高橋、鳥居、誰もが一度はシュートを打つも枠を捉えることができない。逆に残り3分、日本のパスミスからASLANがドリブルでペナルティーエリア内に侵入。ここは彼のミスで日本は救われる。ただ、その1分後、再度ASLANがドリブルでDF4人をかわして、ゴールキーパーエリアすぐ外からゴール右隅に流し込み2-0。その後も日本はゴールに至らず、0-2で日本は敗れた。

試合終了後、左から1人置いて川村(背番号10)、ロベルト(背番号3)、佐藤(背番号1)写真・中村 Manto 真人
試合終了後、左から1人置いて川村(背番号10)、ロベルト(背番号3)、佐藤(背番号1)写真・中村 Manto 真人

日本は4戦全敗でパリパラリンピックを終えた。無得点でおわったことについて中川監督は「フィニッシュのクオリティを高めるように取り組んでいかなければいけない」。「選手の力を100%引き出せなかったのは自分の力不足だったのではないかと痛感している」。「ブラジル、アルゼンチン、中国のトップグループに対して他の5チームがセカンドグループ。そこからこぼれないように、僅差の勝負を制して勝ち上がっていけるようにしなければいけない」と語った。グループBの全6試合で生まれた得点は4(オウンゴールが1)。シュートからの得点は2試合に1つしか生まれていないことになる。わずかの差が勝負を分ける。それが如実に可視化された大会だった。

サポーターに挨拶する日本代表。写真・中村 Manto 真人

その後行われた、モロッコ対中国の5位決定戦は、中国が1-0で勝利した。準決勝のコロンビア対フランスは地元フランスが観客の大声援を受けるなか、アテネ大会からこの競技に出場しているVILLEROUX Fredericがゴールを決め1-0で勝利し、ロンドン大会以来の決勝に駒を進めた。
もう一つの準決勝、パラリンピックでは5度目の対戦となったブラジル対アルゼンチン戦は行き詰まる攻防の中0-0で終わり、PK戦において4-3でアルゼンチンがパラリンピックで初めてブラジルを破り勝利した。これでブラジルの6連覇への夢は打ち砕かれた。

決勝は、9月7日27時(日本時間)に地元フランスとアルゼンチンの間で争われる。どちらが勝っても初優勝。地元の利を生かしてフランスが勝利を収めるか、試合中に、ラ・マルセイエーズの「Marchons, Marchons(進もう、進もう)」が何度スタジアムに響き渡るのか非常に楽しみだ。3位決定戦は、ブラジルとコロンビアの間で争われる。去年のパラパンアメリカ大会の決勝ではブラジルが1-0で勝利している。上り調子のコロンビアによるアップセットがあるのか?まさに目が離せない。日本からはIPCライブストリーミングhttps://www.youtube.com/watch?v=Tn05nx9Uwmc で観戦できる。遅い時間ではあるが、ぜひパリの熱狂を目撃してほしい!

(校正・中村和彦、そうとめよしえ)

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