関連カテゴリ: Paris2024, ブラインドサッカー, ブラインドスポーツ, 取材者の視点, 国際大会, 夏季競技, 新着, 観戦レポート — 公開: 2024年9月5日 at 1:09 AM — 更新: 2024年9月7日 at 1:52 AM

【ブラインドサッカー】中川JAPAN アルゼンチンに0-1で敗れ、三連敗無得点でグループリーグを終了。

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グループリーグ最終戦、日本はランキング1位のアルゼンチンと対戦。一瞬の隙をつかれて得点を許し、0-1で敗れ三連敗でグループリーグを終了した。次は7位決定戦をトルコと9月5日に戦う。

日本を破り準決勝に進むアルゼンチンチーム。 写真・中村 Manto 真人

9月3日ブラインドサッカー3日目、日本はアルゼンチンとのグループリーグ最終戦を迎えた。グループリーグBの最後の試合だ。先立って行われたコロンビア対モロッコは1-0でコロンビアが勝利。その結果、試合開始時点で勝ち点はコロンビア 7、モロッコ4、アルゼンチン2、日本0。過去に銀2、銅2のアルゼンチンにとっては勝利が準決勝進出に向けて必須となった。

日本はこれまでの2試合と同じく、GKが佐藤大介(背番号1)、佐々木ロベルト泉(背番号3)、キャプテンの川村怜(背番号10)と平林太一(背番号6)、後藤将起(背番号8)の1-2-1の布陣。アルゼンチンは、GKがMULECK German(背番号12)、キャプテンのDELDO GARCIA Angel(背番号2)、 PADILLA Frolian(背番号4)、FERNANDEZ Osvalda(背番号8)、そしてエースのESPINILLO Maximiliano(背番号7)だ。FERNANDEZ以外は、今年6月に日本が勝利した試合のメンバー。ここまで両チームとも無得点。どちらが先制点を決めるかが大きなポイントとなる。

初シュートはアルゼンチン。第1ピリオド3分にESPINILLOが左CKからカットインしてゴール正面よりシュート。クロスバーを叩く。

シュートを放つESPINILLO(画面真ん中)。写真・中村 Manto 真人

次に会場を沸かしたのが7分の日本のプレー。自陣右サイド12mライン付近でフリーになったボールを平林が拾うとそのまま相手DFを置き去りにして右サイドをドリブルで駆け上がりGKと1対1を作る。だが、ゴールキーパーエリア角に座って構えるGKに阻まれる。もう少しゴール中央までボールを運べたらというシーンだった。中川英治監督は試合後、「真ん中にいけと言ったがプレッシャーと騒音で平林に届かなかったのだろう」と悔しがった。

もう少し中に切り込めればという平林のシーン。 写真・中村 Manto 真人

10分、左サイド12mライン付近に陣取るESPINILLOへのボールをロベルトがカットしたところまで良かったが、そのボールにDELDO GARCIAが即座に反応し、すぐさま逆サイド12mライン付近でフリーのFERNANDEZへパス。FERNANDEZはパスを受けるとペナルティエリアに侵入しシュート。ゴールネット右側に突き刺さりアルゼンチンが先制、1-0となる。

FERNANDEZ(画面右上)によるゴール直後。写真・中村 Manto 真人

日本は12分、佐藤からのゴールクリアランスを、途中出場の鳥居健人(背番号11)が左フェンス12mラインあたりで受け、すぐにゴール前に構える後藤へパス。後藤もそのパスを受け取り前を向くが、相手DFのブロックでフィニッシュできない。第1ピリオドをアルゼンチンが1-0とリードして終わる。

第2ピリオド、最初の5分間は日本陣内でのプレーが多く、2分にはESPINILLOがゴールキーパーエリアに侵入する。平林、鳥居がドリブルでアルゼンチン陣内に入るもシュートに至らない。5分、センターサークル付近でボールを奪った川村がドリブルで上がり、ゴールほぼ正面8mの位置でシュートを放つもヒットせず、ゴール左に外れる。

第2ピリオド5分の川村のシュート。 写真・中村 Manto 真人

8分には1点を奪うべく、ロベルトに代えて永盛楓人(背番号2)、途中出場の園部優月(背番号14)に代えて高橋裕人(背番号4)を入れ、高橋をピヴォ、左アラに後藤、右に平林、フィクソに川村をおく攻撃的なフォーメーションへスイッチ。10分には高橋がGKと1対1となるもシュートはクリーンヒットせず、状況を打開するには至らない。

シュートを放つ高橋(背番号4)写真・中村 Manto 真人

12分には平林が自陣12mラインからドリブルで相手ゴール近くまで持ち込むも、右から来るDF2人のプレッシャーからシュートはゴールを大きく外す。残り1分、相手ペナルティエリアで平林がチーム5つ目となるファールを犯し、グループリーグ3試合で初めて第2PKを献上。しかしキッカーESPINILLOのシュートをGK佐藤がしっかり弾き、追加点は許さない。そのまま日本は相手のゴールを脅かすことなく、試合終了。1-0でアルゼンチンが勝利し、準決勝へ駒を進めた。

ESPINILLOの第2PKを弾く佐藤 写真・中村 Manto 真人

試合後、中川監督は「フィニッシュの精度を上げることができなかったのは監督の責任、4年に1度の大舞台に備える認識が甘かったのかもしれない」と振り返った。無得点に終わった後藤は「悔しい。壁際でボールを受けてのプレー、流れからのシュートなどが少なかった。チームとして闘えているが、世界とやる上で何か足りない」と口にした。平林は「悔しい、観客の声援や反響音など環境に合わせきれなかった自分の未熟さを痛感した」とコメントを絞り出していた。順位決定戦への気持ちを聞かれると「点も取れてないですし、爪痕を残して次に繋げられるようにしたい」と語った。

この試合では守備に回ることが多かった後藤 写真・中村 Manto 真人

これでグループリーグが終了し、1位コロンビア、2位アルゼンチン、3位モロッコ、4位日本の順位が確定した。グループAは1位がパラリンピック6連覇を狙うブラジル、2位は開催国のフランス、3位が中国、4位がトルコとなり、東京大会で銅メダルを競ったモロッコと中国が共に準決勝に進めないという結果となった。モロッコは、キャプテンのHATTABがコンディション不良で十分に闘えず、SNISLAも無得点に終わったことが大きかった。

次は9月5日に、準決勝と順位決定戦が以下の通り行われる。
17時30分  トルコ対日本(7位決定戦) 
20時    中国対モロッコ(5位決定戦)
24時30分  コロンビア対フランス(準決勝)
27時    ブラジル対アルゼンチン(準決勝)

中川JAPANには次の世代に繋げるためにも、パリの地に爪痕を残すためにも、スタジアムに集まる多くの日本のサポーターにそして、オンライン越しで応援している全国のブラサカファミリーに勝利を届けてほしい。
この順位決定戦、日本では公式ライブストリーム で観戦が可能だ。このチームでプレーする最後の試合を是非、応援しよう。

(校正・中村和彦、そうとめよしえ)

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