パラ水泳競技6日目の9月3日、鈴木孝幸が男子200m自由形で銅メダルを獲得し、今大会3つ目のメダルを手にした。初日の50m平泳ぎSB3で金メダル、2日目の100m自由形S4で銀メダルを獲得しており、「どの色のメダルもベストを尽くした証だ」と語っていた鈴木。東京大会に続き、パリ大会でも見事3色のメダルをコンプリートした。
この日のレースでは、予選から綿密な戦略を練って臨んだ鈴木。「いつもはやらないが、決勝で他の選手にマークされないよう、予選ではあえてスピードを抑えて泳いだ」と明かした。その作戦が功を奏し、決勝では狙い通り一番端のレーンを確保。序盤から積極的にレースを展開し、100mを予定通りのタイムで通過。最後まで粘り強く泳ぎ切り、4位との差はわずか0.03秒。まさにタッチの差で手にした銅メダルは、経験と強運がもたらした勝利だった。
3種目を泳ぎ終えた鈴木選手だが、パリパラリンピックでの挑戦はまだ続く。残るは50m自由形S4と20ポイントリレーの2種目。特にリレーは、鈴木選手自身が初出場のアテネ大会で先輩と共に泳ぎ、銀メダルを獲得した思い入れのある種目だ。
「自分がそうだったように、若手選手にも良い経験を積んでほしい。それはただメダルを獲得するということではなく、共に努力してきた過程が報われるという成功体験を味わってほしいと考えている。たとえメダルを獲得できなくても、このリレーを通して多くのことを学び、無駄にならない努力を経験してほしい。彼らの成長につながれば嬉しい」と語った。
アテネ大会から6大会連続出場、37歳を迎えた鈴木は、今大会水泳日本代表チーム最年長のリーダーであり、IPCアスリート評議会委員としても活躍している。東京大会に続き、パリ大会での選挙にも立候補し、再選を目指している。
中国、圧倒的な強さを見せつける! 50m背泳ぎS5で日本の田中映伍、日向楓が健闘
この日、中国の水泳チームは驚異的な強さを発揮し、6レースで金メダル4個、銀メダル4個、銅メダル3個を獲得した。特に50m背泳ぎS5では、男女とも表彰台を独占した。
中国選手と男子50m背泳ぎS5のレースに出場した日本の田中映伍選手は6位、日向楓選手は7位という結果だった。
この種目をメインに練習してきた田中選手は、「世界のトップ選手はスタートから速く、浮き上がる時点で体1つ分の差がついてしまう。この差をどう縮めるか、今後の課題です」と語った。
7位の日向楓は「田中選手と一緒に2人で競えればとても嬉しいですけど、自分の結果も出せず、田中選手はいいタイムでどんどん離されている。かなり不安には感じますが、ロスを目指します」と日向。
ベラルーシのボキ・イハーは、200m個人メドレーSM13で自身の世界記録を更新した。
ボキ・イハーと同じレースで泳いだ日本の齋藤元希選手は、「正直に、ゾクゾク、ドキドキした。国内ではなかなか同じクラスの選手と競う機会がなく、他のクラスや健常者の方とレースをすることが多い。しかし、5年間パラ水泳の世界で活動してきたことで、自分のクラスで戦うという意識が強くなっている。このような大舞台で、自分のクラスの選手たちと競い合えるのは本当に楽しい」とレースを終えた感想を述べた。
(校正・そうとめよしえ)