関連カテゴリ: Paris2024, サッカー, ブラインドサッカー, ブラインドスポーツ, ブラサカニュース, 取材者の視点, 国際大会, 夏季競技, 新着 — 公開: 2024年9月2日 at 5:21 PM — 更新: 2024年9月5日 at 2:18 AM

【ブラインドサッカー】開幕!中川JAPAN、エンジン全開とは行かず。初戦はコロンビアに0-1で敗退。

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パリパラリンピックのブラインドサッカーは、9月1日11時半(現地時間)、日本対コロンビアで幕をあけた。日本は自分たちのペースをつかむ前に1点を決められた。徐々に攻撃の糸口をつかむも、フィニッシュの精度が上がらず、0-1で初戦を落とした。

 

多くの観客を集めたエッフェル塔スタジアム。 撮影・中村Manto真人

パリパラリンピック 5日目の9月1日、快晴のなかエッフェル塔スタジアムでブラインドサッカーが日本対コロンビア戦で開幕した。

GKが佐藤大介(背番号1)、DFに佐々木ロベルト泉(背番号3)、MFにキャプテンの川村怜(背番号10)と平林太一(背番号6)、FWに後藤将起(背番号8)がスタメンの日本。フォーメーションは、後藤を左、平林を右という並びで1-1-2のフォーメーションを作る。コロンビアは、GONZALEZ HERNANDEZ Jhon Eider(背番号9)とPEREZ QUINTERO Juan David(背番号10)に、GKがキャプテンのARDILA CARDENAS Jhohan Daria(背番号1)、HERNANDEZ GARCIA Jhon Alexander(背番号7)、MARTINEZ GUEVARA Alex Enrique(背番号5)で、こちらは1-2-1でMFの位置にPEREZとGONZALEZが入り、MARTINEZがトップの位置に入る。

国歌斉唱の両チーム。撮影・中村Manto真人

第1ピリオド、開始からコロンビアは予想通りGONZALEZとPEREZの2人を軸に日本陣内に攻め込む。それに対して、日本はFP4人の全員ディフェンスで押し返す。日本が相手陣内にボールを運ぶとコロンビアはコンパクトなダイヤモンドをつくり、攻撃を跳ね返す。そうした応酬の中で、両チーム通じての初シュートは開始5分。PEREZがゴール正面からシュートを放つも佐藤がしっかりブロックする。その1分後にCKを得た日本は、キッカーの川村がドリブルからゴールを狙うもキーパーにキャッチされる。ついで7分、コロンビアは12mラインの内側左フェンス前でFKを得る。GONZALEZが持ち込むが、シュートは力強さを欠き佐藤がしっかり抑える。さらに8分、競り合いからPEREZがマイボールにして左45度7mまで持ち込み、日本の守備の外側から左足で放ったシュートがクロスバーに当たって決まり、コロンビアが先制する。

コロンビアにとってのパラリンピック史上初ゴールを喜ぶPEREZとガイド 撮影・中村Manto真人

その後日本はペナルティエリアから2m外、前線で体を張った後藤へのファールでセンターやや右の位置でFKを得る。川村がそのままシュートを放つが相手GKがしっかりブロック。12分には、平林を下げ高橋裕人(背番号4)を投入。前線でのボールキープと前を向いてのプレーに期待をかける。第1ピリオド終了直前、後藤が左CKからのドリブルでシュートを放つもサイドネット。コロンビアの1点リードで第1ピリオドを終える。川村は「緊張感もあり多少のバタつきも想定されていたが、先制され、なかなか立て直せずに終わった」と振り返った。

前線での後藤(背番号8)のプレー 撮影・中村Manto真人
ドリブルで突破を図る川村(背番号10)撮影・中村Manto真人

第2ピリオドはスターティングラインナップに戻した日本。一進一退の攻防が繰り広げられる。会場の高い観客席がもたらす音の反響などにも慣れたか、平林や川村がドリブルで前に運びシュートまでいくシーンもでてくる。6分に佐々木が相手のファールでの流血により永盛楓人(背番号2)に交代するというハプニングがあった。8分には平林がドリブルで相手をかわして相手GKと1対1になるもシュートは枠外に。その2分後、GK佐藤からのゴールクリアランスを相手ペナルティエリア内で受けた後藤がシュートを放つも相手GKがブロック、その跳ねかえったボールを再び後藤がシュートするも枠から外れる。佐藤から再三、前線に位置取りする後藤、高橋へボールを供給しようと試みるが得点に結びつかない。平林も再三得意のドリブルでゴール前に迫るが、フィニッシュの精度があがらず、無得点。0-1で試合終了した。

第2ピリオド、シュートを放つ平林(背番号6)。 撮影・中村Manto真人
好守とゴールクリアランスでゲームを引っ張ったGK佐藤 撮影・中村Manto真人

試合後、中川英治監督は「勝ち点3をとることができなかったが、攻撃面で意図したことはある程度できた」と前向きに試合を捉えた。「ただ、フィニッシュの精度が上がらなかった」ことを悔やんだ。試合を通して枠を捉えたのは川村がシュート2本(第1ピリオド)、平林と後藤はそれぞれ4本シュートを放つも枠内には1本づつだった。平林は「(特に時間が進めば進むほど)冷静にシュートを打てなかった」と悔やんだ。環境の影響について聞かれると「環境ではなく、自分のコントロールの問題」と語った。コロンビアのメディアに次の試合にむけてのコメントを求められた川村は「次は絶対に勝ちます」と改めて決意を語り会場を後にした。

チケットは完売したものの、試合開始時のエッフェル塔スタジアムは6割強の入りで空席も目立った。第1ピリオドの間も観客は入場し、後半が始まるまでには9割以上席が埋まった。ただ、鉄骨の仮設スタジアムなので試合中の入場の際に、ブラサカには大敵のノイズがでることは避けられなかった。

仮設のスタジアムの様子。観客はかなり急な階段を登り下りする。撮影・中村Manto真人

また、選手が素晴らしいプレー(例えば平林がドリブルの切り返しで相手を抜いた時)に「おお」と息を飲むのが自然な反応ではあるのだが、観客が多いため、それがプレーの妨げになるシーンがあった。ゲームが進むにつれて観客も慣れていくことがみて取れ、静かになっていったのだが、この辺りもう少し、MCによる盛り上げだけではない誘導も期待したところだ。プレーへの影響については、選手はこう言った場所でプレーすることへの感謝を口にし、それほど影響がないことを強調していた。これから試合を重ねるにつれて、ここでしかない唯一無二の体験の場に慣れ、最高のパフォーマンスを見せることを期待したい。

第2試合のモロッコ対アルゼンチンの試合はスコアレスドローに終わった。大切な初戦を落とし暫定4位だが、2戦目以降でまだまだリカバリー可能だ。次は9月2日 20時30分(日本時間)に強敵のモロッコとの対戦だ。早い時間に先制し、ゲームを優位に運んで欲しい。テレビ放送は生中継は予定されていないが、IPCの公式ライブストリームでぜひとも声援を送って欲しい。
Allez Japon!
是非パリパラリンクでのメダルを目指す中川JAPANを応援しよう。

*NHK総合では24時30分頃から録画中継が予定されており、元ブラインドサッカー日本代表加藤健人がコロンビア戦に引き続き解説を担当するようだ。
(校正・中村和彦、そうとめよしえ、佐々木延江)

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