パリ2024パラリンピック競技大会 車いすバスケットボール女子日本の初戦が30日、ベルシー・アリーナで行われた。
オランダとの一戦で日本は負けを喫したものの、得られたものも多かったようだ。最終得点は87-34とダブルスコア以上の点差。しかし、前回大会の優勝国を相手に手応えもあった。岩野博ヘッドコーチは「自分たちがフリーの形を作ってアウトサイドショットでオフェンスしていく形は出来た。これからもドイツ、アメリカと体の大きい選手と当たらなければいけないので、その中でも出来たというのは大きい収穫」と手応えを口にした。
最年長の土田真由美、得点でチームを鼓舞
波乱の起きた初戦。試合途中でキャプテン北田千尋がオランダ選手との接触により転倒。担架で運ばれ退場を余儀なくされた。精神的支柱を失ったかに見えたが、そこから第4クオーター、日本が底力を発揮。最年長の土田真由美が次々と得点を決めると、チームにいい流れが。「北田キャプテンの分まで自分がやろうと思った。私は得点を取るのが仕事なので無我夢中だった」と土田は振り返る。土田はこの日チーム最多の14得点を上げる。パリ大会に向けてオーストラリア、オランダで計1ヶ月近く海外選手とプレーしてきたという土田。得点の要因を「当たりの強いプレーに慣れていたこと」と話し、海外での経験値を感じさせた。
オランダ「できるだけ自分たちのプレーを」
対戦国にとっても初戦の意味合いは大きかったようだ。オランダのエース、15番のマリスカ・ベイヤーは「私たちはいつも最初の試合で興奮して、そのあとやりすぎてしまう。だから、第1クオーターの終わりくらいに少しペースを落として、リラックスするようにした。流れは日本も同じだったと思う。興奮しているのを感じた」と振り返った。9番のクラマー・ボーは「大会の始まりであり、パラリンピックの始まり。みんな少し緊張していた。日本は初戦にしてはよくやった方だと思う」と話した。
日本戦での戦術についてマリスカは「できるだけ自分たちのプレーをする。日本はとても切り替えが早いので、走り出している時には追いつこうと思うけど、自分たちが攻撃の時はじっくり構えていく」との意識を明かした。また、チームの強みについては「もう長い間一緒にいるので、お互いに何をするか分かっている。それに勝るものはない」と連携の強さを挙げた。
「恐れない・勇敢な」という意味を込めて「Fearless JAPAN 〜地獄の40分間の、その先に〜」をスローガンに掲げる女子日本代表。まさに地獄の40分間の中、その思いを体現した初戦だった。