パリ2024パラリンピック競技大会の開会式が8月28日、パリ中心部のコンコルド広場で開かれた。凱旋門やシャンゼリゼ通りなどパリの魅力を存分に発揮し、夏の夜を彩った。
今大会は「開かれた大会」をテーマに、パラリンピックとして初めて競技場の外で開会式が開かれた。選手たちが凱旋門を背景に“世界で最も美しい通り”シャンゼリゼ通りをパレードし、沿道やパブリックビューイングでは多くの人が見守るなか、パリ初開催のパラリンピックを大いに盛り上げた。
“不和”から“調和”へ
開会式のコンセプトは「パラドックス。“不和”から“調和”へ」。
人生に対する異なる見方やアプローチを「厳格な社会」と「クリエイティブ・ギャング」という2つのグループに分けて表現。白黒の衣装に身を包んだ140人のダンサーで構成される「厳格な社会」は、はじめ偏見や誤解から16人の障害者パフォーマー「クリエイティブ・ギャング」を遠ざけるものの、創造性とスポーツの架け橋を通じて理解し、互いに尊重し合う。振り付けはスウェーデンの振付師、アレクサンダー・エクマン。
式典の舞台となったコンコルド広場にも意味を込めた。もともとはルイ15世広場と呼ばれていたが、フランス革命の最も象徴的な出来事、ルイ16世の処刑の場となり、後にコンコルド広場と改名。革命が起きた不安定な時代から後に国家が調和するように、「“不和”から“調和”へ」の軌跡をステージ上のパフォーマーたちがたどる。パリ2024大会組織委員会のトニー・エスタンゲ会長は、この開会式が選手による「パラリンピック革命」の始まりを象徴していると話し、パリが多様性の社会へと変わる可能性に期待を込めた。
街中でもセレモニー!「開かれた大会」を体現
セレモニーは街中でも見ることができた。市内ではいくつかの野外イベントが開かれ、多くの人が大型ビジョンで開会式を見守ったり、選手パレードを沿道から楽しんだりしていた。パブリックビューイングの会場はフランス選手団入場の映像が流れると、パリの代表曲「オー!シャンゼリゼ」で大合唱。式典会場から街中まで、パリ全体での一体感が感じられ「開かれた大会」を体現した。
東京2020パラリンピックで開閉会式ステージアドバイザーを務めた栗栖良依は「シャンゼリゼ通りでのパレードやパブリックビューイングの設置など、会場の外でも楽しめる工夫があった。それに、高いチケット代を払った式典会場の観客も置き去りでなく満足できる内容になっていて、街中を会場とするセレモニーとしては、五輪より誰もが楽しめる内容だった。また、選手入場の盛り上げ方の演出が素晴らしく、観客による選手の迎え方も温かった。そして、会場でのモニュメントや噴水などを織り交ぜた演出や、映像の使い方、場面転換の美しさなど、テレビには映らない部分のステージ演出も完璧だったと思う」と話した。
パリパラリンピックは9月8日まで、史上最多の167の国と地域、難民選手団から約4400名のアスリートが熱戦を繰り広げる。
(校正・佐々木延江)