関連カテゴリ: Paris2024, サッカー, ブラインドサッカー, ブラインドスポーツ, ブラサカニュース, 夏季競技, 新着 — 公開: 2024年8月31日 at 7:32 AM — 更新: 2024年9月3日 at 5:25 PM

【ブラインドサッカー 】グループリーグの3日間がまもなく開幕。中川ジャパンは歴史を変える!対戦相手と見どころは?

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9月1日にパリパラリンピック、ブラインドサッカーが日本対コロンビア戦で開幕する。日本が戦うグループBの対戦国を中心にグループリーグを展望する。

エッフェル塔スタジアムで公式練習を行う日本代表(8月27日)

いよいよ9月1日(現地時間、以下同じ)日本対コロンビア戦でアテネ大会から数えて6回目のパラリンピックのブラインドサッカーがエッフェル塔スタジアムで開幕する。各大陸選手権の勝者、ブラジル(IBSA世界ランキング2位、以下同じ)、中国(5位)、トルコ(15位、フランスが優勝のため2位から繰り上がり)、モロッコ(8位)と、昨年の世界選手権で出場権を得たアルゼンチン(1位)、日本(3位)、コロンビア(12位)、開催国枠のフランス(6位)の8カ国が参加。2021年東京大会の開催国枠で初出場5位を果たした日本は、初の自力出場でメダル獲得を目指す(自力出場までの道筋はこちらを参照)。ブラジルのパラリンピック6連覇なるか、それともどこかがストップするのか、まずはグループリーグの展望を日本を中心に記述する。

競技はA、B2つのグループに分かれ、9月1日から3日まで総当たりのグループリーグを戦う。1日あけて準決勝、さらに1日空けて9月7日の決勝と3位決定戦でメダルの行方が決まる。日本はコロンビア、モロッコ、アルゼンチンとグループBで対戦する。

初戦のコロンビアはパラリンピック初参加。2023年IBSA世界選手権4位、パラパンアメリカン競技大会2位、2024年IBSA ワールドグランプリ2024初優勝と着実に力をつけている。注目はFWの2人、ジョン・ゴンザレス(背番号9/ 27歳)とホアン・デビット・ペレス(背番号10/ 28歳)。特にゴンザレスは今年のワールドグランプリでMVPと得点王に輝いた(後藤将起も同じく4点を記録し得点王)。この大会で日本はペレス抜きのコロンビアに準決勝で0-2で敗れている(全対戦成績は日本の2勝1分1敗)。勝ち点3が必須の大切な初戦、この2人のFWの左右からの攻撃をどう防ぎ、得点を奪えるかがポイントになる。ぜひ前回のリベンジを果たして欲しい。

続く2日はアフリカ選手権5連覇中のモロッコと対戦する。パラリンピックはリオ大会で初出場、東京大会では銅メダルを獲得している。過去4戦して1分3敗とまだ一度も勝利したことのない相手で、この7月に大阪で開催されたJapan Cup2024でも2連敗(1PK負け含む)。注目はこちらも2人。同じクラブチームに所属しているMFでキャプテンのアブデラザク・ハッタブ(背番号10/33歳)とFWのズハイール・スニスラ(背番号9/25歳)だ。若いスニスラは東京大会で8点をとり得点王に輝いている。ハッタブはサッカースタイルの足からボールがしっかり離れるドリブルとフリーキックを武器にリオ大会でチーム唯一のゴール、アフリカ選手権でも17年、22年に得点王に輝いている。日本が準決勝に進めるかどうかを占う大切な一戦。先日のJapan Cupでもそうだが、チャンスは必ずくる。その時に決め切れるかが勝負を分ける。

Japan Cupで後藤将起と競りながらドリブルするハッタブ(中央)。

グループリーグ最終戦は、パラリンピック銀メダル2回、銅メダル2回の実績を誇るアルゼンチンとの対戦だ。キープレーヤーはマクシミリアーノ・エスピニージョ(背番号7/30歳)。去年の世界選手権ではMVPを獲得し、チームの得点源だ。左右両方蹴れるが、特にカットインしての右足でのシュートは強烈。12mライン(ゴールから12mの距離)外からのミドルシュートも度々決めている。彼へのパスの供給をどう止めるかがポイントになる。昨年のワールドグランプリでPK戦を2-1で制し、日本は初めて勝利した。今年のワールドグランプリでは2-0と完勝(合計2勝2分6敗)。それまでの2戦の結果次第で勝ち点を見据えた戦い方も必要となってくる。マクシミリアーノの一発を丁寧にケアしながら、しっかり試合をコントロールして準決勝進出を決めて欲しい。

昨年の世界選手権でのマクシミリアーノ。この強烈な右足が武器

日本のスタメンは、GKが佐藤大介(背番号1/40歳)、DFに佐々木ロベルト泉(背番号3/46歳)、MFに右が絶対的キャプテンの川村怜(背番号10/35歳)と左に平林太一(背番号6/17歳)、FWに後藤将起(背番号8/39歳)が予想される。特長は攻守の切り替えの早さ、FW,MF3人で攻撃し誰もが得点できることだ。23年、24年で開催された国際大会で、川村が13点、平林が9点、後藤が6点を奪っている。気がかりは先日のJapan Cupで平林、後藤とも無得点に終わったことだ。平林は試合後「敗戦からの学び」を口にした。ぜひ、本番ではゴールを決めて欲しい。

足にボールが吸い付くドリブルで仕掛ける平林太一。1人挟んで右がスニスラ。

なお、準決勝はグループA1位とB2位、グループA2位とB1位が対戦する。グループAはブラジル、中国、フランス、トルコが競い合う。過去の実績、ランキングを加味するとブラジル、中国の順となる可能性が高い。日本はブラジルとは1勝1分17敗、中国とは2勝2分16敗と大きく負け越しているが、23年の世界選手権でも互角の戦いを演じて惜敗。先日のワールドグランプリでは、中国に2-1で実に8年ぶりの勝利を挙げた。日本としては決勝進出のためにグループBを1位突破し、準決勝で中国と対戦するのが、決勝への最短経路だ。

ドリブルで仕掛ける絶対的キャプテン 川村怜(右) 撮影・内田 和稔

8月7日から20日までイングランドのヘレフォードで長期のキャンプを張った日本代表。地元のクラブチーム、イングランド代表との練習試合を消化して、21日に選手村に入村した。中川英治監督は「やってきたことだけがゲームの中で出せる。そのためにコンディションを上げていく」と7月28日に開催された壮行会でコメントした。その言葉のとおり、最高の状態でのキックオフを期待しよう。チケットは早々に全試合売り切れた。初戦のコロンビア戦はNHK Eテレで放送予定だ。日本ブラインドサッカー協会では、キックオフの9月1日18時30分(日本時間)にXで#ブラインドサッカー のハッシュタグで応援メッセージを投稿するように呼びかけている。それぞれの形でぜひ日本代表を後押し、「歴史を変える」第一歩を歩み出す中川ジャパンを応援しよう。

(校正・中村和彦、そうとめよしえ)

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