8月に開幕するパリパラリンピックに向け、日本選手団の結団式が7月16日東京都内のホテルで行われた。
東京大会がオンライン開催だったため、夏季パラリンピックの結団式としては8年ぶりに選手たちが一堂に会し、華やかな式典となった。
今大会の旗手には、陸上の石山大輝(愛媛県松山市・弱視/順天堂大学大学院)と水泳の西田杏(埼玉県所沢市・左上腕欠損・右足大腿骨欠/SHIRO)が選出。日本選手団の団長を務める田口亜希*から2人に団旗が授与された。
式典には秋篠宮ご夫妻も臨席され、秋篠宮殿下は「パラリンピックはパラアスリートにとって最高の競技の舞台です。皆様には日頃からの成果を存分に発揮されることを期待しております。また1人1人がスポーツを通じてパリに集う人々との交流を深めることにより、国際親善に務められることを願っております」と述べられた。
またご夫妻は旗手の2人に、「頑張ってください」「現地の気候に気をつけて体調管理をしっかりしてください」などと声をかけられていた。
開会式はシャンゼリゼ通りを行進
パリパラリンピックは「Games Wide Open」(広く開かれた大会)をスローガンに、パリの名所を舞台に大会が開催されることで注目を集めている。
開会式はシャンゼリゼ通りを行進し、コンコルド広場に集結。競技場外で行われるのはパラリンピック史上初めてだ。
西田(パラ出場は東京に続く2回目)と石山(パラ初出場)にとっては、初めての有観客でのパラリンピック。そして花の都・フランスでの開催。
このことについて西田は「東京では開会式には出席できずテレビで見ていたので、開会式に出られること自体が楽しみ。水泳会場も18,000人ほどが収容でき、日本からも家族や友人が応援に来てくれるので、みんなの前で泳げるのがすごく幸せ」。石山は「神戸世界パラ陸上で有観客試合の盛り上がりを感じたので、そういうものをまたパリの入場行進で感じられると思うとワクワクする。試合にも気を引き締めて臨みたい」と高揚感を語った。
西田の夫は冬季パラリンピック・ノルディックスキー代表の森宏明。今回西田が旗手に選ばれたことについて森は、「選手としてこれ以上ないくらいに光栄なことだよ」と話したという。
また、今大会はコーチとして帯同する走り高跳び・鈴木徹(パラリンピック6大会出場)が2008年の北京大会で旗手を務めたことについて、石山は「そのことは初めて知った。でも指導者として世界と戦いたいと明言されているので、絶対にメダルを取って徹さんにかけたい」と誓った。
放送はオリンピックと同等、会場アクセスは100%バリアフリーに
式典にはフィリップ・セトン駐日フランス大使が出席し、挨拶を行った。この中でパリパラリンピックの具体的な施策について
・事前PR、競技中継をオリンピックと対等のボリュームで扱うこと
・パリを代表する名所をオリンピックを同じく会場にすること
・インフラ整備などを通じて、オリンピック・パラリンピックともに全ての競技会場が100%バリアフリー会場になることなどを紹介。
これに対し深沢陽一外務大臣政務官は、「日本国内でのパラリンピック放送・報道はまだまだ少ないと感じている。パリ大会でも1つでも多くの試合の様子が日本に伝わり、日本国内の応援につながることを期待している」と述べた。
日本選手団は選手160名、コーチ・スタッフなど119名、計279名が第1次発表として選ばれている。海外へ出向く日本選手団としては、史上最多となる見込み。
パリパラリンピックは22競技が行われ、世界中から4,400人が集結。8月28日から9月8日までの12日間の熱いドラマから目が離せない!
*田口亜希;アテネ(2004)、北京(2008)、ロンドン(2012)、パラリンピック3大会出場の元射撃選手、引退後JPC運営委員、JOC 理事を歴任、東京2020パラリンピック選手村村長。
(校正・佐々木延江、地主光太郎)