関連カテゴリ: サッカー, ブラインドサッカー, ブラインドスポーツ, 今日の注目記事, 国際大会, 夏季競技, 大阪, 新着, 観戦レポート — 公開: 2024年7月5日 at 7:47 PM — 更新: 2024年7月9日 at 12:48 AM

ブラサカ、パリパラリンピックに向けた最後の強化試合は大阪で。ジャパンカップ2024が開幕し、日本は白星発進!

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初の自力参加となるパリパラリンピックに向けた最後の強化となる試合「ダイセル ブラインドサッカージャパンカップ 2024 in 大阪」がモロッコ、メキシコ、マレーシアを迎えて7月4日、グランフロント大阪 うめきた広場にて開幕。日本は初戦でをマレーシアと戦い、1-0で勝利した。

うめきた広場に出現したブラサカのピッチ 写真・内田和稔

まとわりつく湿気と暑い日差しのなか、普段は買い物客や仕事に向かう人が行き交う大阪駅に隣接するグランフロント大阪 うめきた広場に設置された特設コートでダイセルブラインドサッカージャパンカップ2024 in 大阪がモロッコ対メキシコの試合で開幕した。

日本ブラインドサッカー協会(以下協会)は、パリ2024パラリンピック(以下パリパラ)のブラインドサッカーが開催されるエッフェル塔下の競技場を想定して、多くの人々が行き交う喧騒の地を会場に選んだ。通常日本代表は静かな事務所くらいの騒音レベルで練習をしている。この会場は地下鉄の車内くらいうるさい騒音レベルだ。実際「一部の場所ではなかなかボールの音が聞こえない」という選手もいた。さらに、天候の影響で会場の設営が遅れ、7月3日に予定されていた公式練習が別の場所で開催された。各チームぶっつけ本番でのプレーとなり、選手の適応能力が問われるチャレンジの場となった。

第1試合 モロッコ 1 – 0 メキシコ

初戦は世界ランキング8位のモロッコ(東京2020パラリンピックでは銅メダル)と、同9位のメキシコが対戦した。モロッコは東京2020に参加したキャプテンのアブデラザック・ハッタブ、ズハイール・スニスラを含む4名と2023 IBSA Men´s Blind Football World Championshipに参加した選手という構成。一方のメキシコは参加予定国の出場辞退を受けて急遽参加が決まった。メキシコチームを率いるパトリシオ・ラミレス監督は、「LA2028パラリンピック大会に向けたキックオフの大会と位置付けている」。「選手たちは常日頃クラブチームで十分準備をしてきた、あとは我々が力を引き出すだけだ」と非常に高いモチベーションであることを強調していた。この両者、直近では2023 IBSA Men´s Blind Football World Championshipのグループリーグで対戦し、キャップテンのハッタブ(背番号10)のハットトリックでモロッコが 3-0で勝利した。
 
試合は、開始早々モロッコのハッタブ(背番号10)がシュートを放つ。その後も積極的にハッタブがシュートを放つもバーに嫌われたり、メキシコのGKルイス・サラテの好守もありなかなか得点に結びつかない。

メキシコのサラテ(背番号99)は堅実な守備でゴールをなかなか許さない。写真・内田和稔

メキシコはグスターボ・アラナ(背番号9)が時たま相手ゴールに迫るがモロッコに弾かれる。第1ピリオド残り1分を切ったところで、モロッコは左45度10mの地点でフリーキックのチャンスを得ると、ハッタブが右に持ち出し右足を振り抜く。ゴール右上隅に突き刺さるゴールで、モロッコが1-0とリードする。

先制点となるシュートを放つハッタブ(青いユニフォーム右) 写真・内田和稔

第2ピリオドは、「コンディションと若手に経験させるため(ドゥリス・エルムンタキ監督談)」6分でハッタブを下げるモロッコ。するとメキシコが攻め込む時間帯も増えたが決定打が生まれない。そのまま、試合は終了し1-0でモロッコが勝利した。

第1ピリオド途中出場のスニスラ。怪我明けとのこと。写真・内田和稔
メキシコの攻撃を引っ張ったアラナ(右) 写真・内田和稔

第2試合 日本 1-0  マレーシア

中川英治監督になって初の国内で開催される公式戦、日本はマレーシアと対戦した。ランキングは日本が3位、マレーシアは26位。直近では2023年に開催されたアジアパラ(杭州)で対戦し、日本は平林太一(背番号6)、鳥居健人(背番号11)の得点で2-0と勝利している。通算でも5戦全勝だ。
日本は「会場設営が遅れた関係で公式練習できずぶっつけ本番。色々なトラブルが想定されたがそれをどう乗り越えていくか」がテーマだったと中川監督は振り返った。
第1ピリオドは、GK 佐藤大介、フィクソ(DF) 佐々木ロベルト泉、アラ(MF)川村怜、平林太一、ピヴォ(FW)後藤将起という何時ものメンバーの日本。マレーシアは自陣に引いて、キーパーから1-1-3のフォーメーションをとり、自陣に侵入する日本選手に対して、2人以上で抑えにいく。「湿気で足がボールに吸い付く(平林太一談)」「相手のボイが聞こえづらい、足音も聞こえづらい(川村怜談)」と従来にない環境の中、相手陣内にいる時間が長いが、日本はなかなか決定的なシーンを作れず、シュートもミスヒットが多い。

「こんなもんじゃない」と振り返った平林太一(背番号6)写真・内田和稔

8分過ぎたあたりで、後藤に代わってドリブルでの突破力がある高橋裕人を投入、局面の打開を図る。川村、平林、高橋で計9本のシュートを放つも枠内は4つで0-0で折り返す。
第2ピリオドに入ると、高橋が積極的に相手ゴールにせまってのシュート、川村がフィクソの位置に構えてドリブルで持ち上がってのシュートなど圧倒的にゲームをコントロールし、12本のシュートを放つがゴールを割れない。

特に第2ピリオド積極的にドリブルからシュートを放った高橋(背番号4)写真・内田和稔

残り1分を切った時点で川村がほぼゴール正面ペナルティラインからゴール左上にシュート。これが決まり土壇場で1点をもぎ取り、そのまま終了。なんとか勝ち点3を手にした。

ゴールを決めたあと観客とハイタッチする川村。写真・内田和稔

国際試合初戦を終えて

東京2020パラリンピック前には毎年のようにIBSAの公式大会が組まれていたが、東京後、複数の国を招いた大会は今回が初めて。それも日本が企画するものは初となる。協会の松崎英吾専務理事は「パリへの壮行試合、日頃サポートしてくださる方々への感謝。それ以上に何気なく通った人たちが足を止め『すごいな!』と感じていただき、その後興味をもってもらえることにつながるか、新たなチャレンジ」と、この大会の意義を語った。実際に観客に聞くと「初めて」「すごい」という興奮した声が返ってきた。また、隣接するバーなどでビール等を買いフェンス裏で観戦される方もあり新しい情景を作り出していた。

選手のコミュニケーション、ガイドとのやりとりも聞こえる至近距離で通常立ち入れない場所での観戦が可能。写真・内田和稔

これから日本は金曜日にモロッコ(19時キックオフ)、土曜日にメキシコ(18時キックオフ)と戦う。ランキングはモロッコより日本が上だが、未だに勝利したことがない。お互いにパリに向けて手の内をどこまで明かすのかなど虚々実々の駆け引きもこの大会の楽しみだ。
お近くの方はぜひ会場に、ちょっと遠い方は協会のYoutubeチャネルのリアルタイム配信でぜひ声援を送って欲しい。

大会情報:
「ダイセル ブラインドサッカージャパンカップ 2024 in 大阪」概要
・日程:7月4日(木)〜7日(日)
・会場:グランフロント大阪 うめきた広場
・主催:NPO法人日本ブラインドサッカー協会
・タイトルスポンサー:株式会社ダイセル
・観戦方法:会場にて無料で観戦可能。全試合ライブ配信予定。
・大会ホームページ:https://japancup24.b-soccer.jp/
・参加国:日本(世界ランキング3位)、モロッコ(同8位)、メキシコ(同9位)、マレーシア(同26位)

スケジュール:
7月4日(木) 16:15 メキシコ vs モロッコ / 19:00 日本 vs マレーシア(終了)
7月5日(金) 16:15 マレーシア vs メキシコ / 19:00 モロッコ vs 日本
7月6日(土) 15:15 モロッコ vs マレーシア / 18:00 日本 vs メキシコ
7月7日(日) 15:15 3位決定戦 / 18:00 決勝戦

(校正・中村和彦、佐々木延江)

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