5月19日、神戸2024世界パラ陸上選手権大会・イブニングセッション前のトークイベントで、ドローンによる飛行撮影が開催された。この日はあいにくの雨模様だったが、高校生ドローン・パイロット宮崎美侑さんの挑戦は実現した。
生まれつき両腕のない宮崎さんは、足でコントローラーを操縦し、競技場の上空でドローンを飛行、撮影を成功させた。宮崎さんは13歳からドローン操作を学び始め、16歳で難関とされる無人航空機操縦士の国家資格に合格した実力派だ。
宮崎さんが足の指でドローンを巧みに操縦する姿は、観客席のモニターに表示され、昼休みの競技場でくつろぐ観客を魅了した。
ポール&美侑による、観客席のひととき
撮影が終わった後、世界パラ陸上競技連盟代表のポール・フィッツジェラルド氏(ポール)と観客席で交流の時間を持った。
ポール:「今日の撮影はどうでしたか?」
宮崎:「これまでは風景の撮影が多かったが、今回はスポーツの現場で人を撮影することができて面白かった。障害を持つアスリートたちが集うこの大会に携われて光栄です」
ポール:「どんな撮影でもできるとしたら、何が撮影したい?」
美侑:「海外の街に憧れます。ヨーロッパの観光名所を撮影したい」
フィッツジェラルド氏の娘たちもドローンに興味があるということで、アドバイスを求めると、宮崎さんは「失敗を恐れず、挑戦することが大切」とし、「今のドローンは技術が進歩しており、安全に操作できる」と答えた。さらに、ポールが「次回神戸を訪れる際、娘たちにドローン操作を教えてくれないか?」と持ちかけると、宮崎さんは「ぜひ来てください。おすすめの観光スポットも案内します」と笑顔で応じ、新しいドローン仲間が増えることを喜んだ。
神戸市在住の高校生である宮崎さんは、既にドローンのパイロットだが「職業としてやるつもりはない。見返りを求めないで楽しんでやっていきたい」と話した。そして、「ドローンは音声での操作ができるが、まだ技術が整っていない。音声操作ができるようになれば、様々な障害がある人もドローンができるようになり、楽しいと思う」と、ドローンを通じてインクルーシブな交流を広げたいと話していた。
そんな宮崎さんの応援は、神戸2024世界パラ陸上選手権大会で、障害を持った誰もが輝けることを伝えた。
(取材協力・一般社団法人ユニバーサルドローン協会・竹中ナミ、一般社団法人国際ドローン協会・榎本幸太郎 校正・地主光太郎)