神戸2024パラ陸上世界選手権・5日目の5月21日、男子400mT52(車いす)の決勝。予選で今年2月に自らが出した世界記録にあと0.50に迫る52.50の走りを見せたMaxime CARABINが決勝でもその強さを見せつけた。
CARABINは前回のパラ陸上世界選手権(2023パリ)で54.19を出し、東京パラ金メダルの佐藤友祈(モリサワ)に勝利、鮮烈なデビューを果たしていて、このT52クラスで最も勢いのある選手である。
「大会に臨む時は、タイムより順位、メダルを取ることにこだわっている」という。「元々ハンドボールをやっていたので、腕と肩を強化した。車いす競技に転向してからも同じようにトレーニングしている。パリはメダルを取りに行く。調子が良ければ世界記録を狙うかもしれない」と、パリへの想いを語った。
佐藤友祈はライバルを追い越すことはできず
輸送中のトラブルでレーサーが全損した日本の佐藤。3年前の東京パラリンピックで使っていたレーサーで挑むことになった。前日、予選後のインタビューでは、「この競技用の車いすは今回の世界選手権に向けて調整したものではない。しっかり合ってない状態の車いすでの57秒っていうのは、ある程度評価できる。万全とまではいかないが、しっかりレースで勝負できるぐらいにはなった」と語っていた。パリではCARABINを倒したいと闘志を燃やす佐藤、その言葉に多くの佐藤ファンの願いも宿る。
(取材・編集 佐々木延江)